異形の仲間たち見聞録

私が見てきた精神疾患者たち

小説 『ボケ茄子の花 その三十九』

2018年10月26日 19時29分23秒 | 小説『呆け茄子の花』

主治医はいつになく真剣な顔だった。

Dr.は静かに「今、専務理事と部長と三人で話しをしてきたんだけど、

尚樹さんには私の直属になってもらうことにしたから」と。

そのあと話しを聞き続けると、当初は専務の部屋でDr.と二人で

話していたらしいが、「部長本人を呼ばなければフェアーじゃない」ということで

部長を呼んで、『部長/Dr./専務』三人で部長が尚樹にしてきたことだけでなく

今まで障害者雇用してきた人たちに対する無理な労働を強いてきた数々の事を

専務の前でいわば「披露」してきたとのことだった。

専務には、ほとんど始めて聞く話ばかりで

「自分の可愛い部下」がこの様な粗い仕事をそれも病院でしているとは、

これまで重用してきた者に後ろ足で砂を掛けられた思いがした。

三人で話しをしたが、部長は終始うなずくばかりだった。

専務理事とDr.との話し合いで尚樹の所属は「副院長室所属」となった。

尚樹にとっては「ひょうたんから駒」の様な話しであったが、

自分にとって「一番良い環境」だと思えた。

 

 

 

 

その四十につづく

 

 

 

 

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