『本部』の面々がニヤニヤしていたのは、尚樹が察するに
専務の前で部長がDr.に叱責されたらしいのだ、『本部』の面々は、
前から部長のことを快く思っていないため、内心胸のすく思いがしたのであろう。
「ニヤニヤ」の原因はそれでったに相違ない。
尚樹の想像は当たっていた、Dr.は「部長の下に尚樹さんを置いておくわけにいかない、
即刻部署から外して、私の直属にしてもらいたい。」とDr.は言った。
さすがに体裁上、そういうわけにもいかず、尚樹は部署内でも「治外法権」
つまりは、部長がとやかく言える人間ではなくなった。
部長はその意趣返しとして、部署の白板から尚樹の名前が入っている
マグネットを無くし、また部署内で回す回覧板からも名前を外した。
部長の性格を色濃く反映したいわば「反撃」であった。
尚樹は気付かぬ振りをして、部長に対して日々のあいさつや業務上の相談をしていた。
三十四につづく・・・
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