尚樹は、主治医に訴えた、なにをか?
「就労していないことの焦燥感・罪悪感」を・・・
その訴えは数度続いた。
それから、幾月かが過ぎた。
あるときの診察の時に尚樹は、主治医から思わぬ言葉を聞いた。
「尚樹さん、あなた病院で働いてみない?」
「え?」
尚樹は耳を疑った。
主治医は一方的に話し続けた。
「障害者の支援をして欲しいのよ、今日は私の担当する患者さんのお母さんがお見えになってるの」
全く、尚樹に口を挟む間も与えず、直ぐさま尚樹の横にある出入り口の扉が開いた。
老婆だった。
ナースに導かれ診察室の中に入ってきた。
老婆は・・・
「このお人なら、私の息子を任せられます・・・」
尚樹はずっと唖然としたままであった。
その二十六につづく
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