街中のビルの六階にある「事務所」へ向かった。
「無料弁護士相談会」へ足を向けた尚樹は女性弁護士と向き合うことになった。
国が運営する『法テラス』は、弁護士会が各事務所の輪番で回っていて、
尚樹は「切れそうな」眼差しの女性弁護士だった。
会話すると、人の当たりはやはり女性らしい穏やかなものだった。
弁「だいたい、いくらぐらいだと把握していますか?ザックリとで良いですよ」
尚「目算ですが、500万位だと思います。」
弁「主に何に使っていましたか?」
尚「出会い系のポイント代です。」
弁「それはどのような切っ掛けからですか?」
尚「・・・、寂しさからでしょうか?」
弁「なるほど、何が原因だとお思いですか?」
尚「私は『精神疾患』を抱えているので、
『同調している人が居ないという寂しさ』でしょうか?
弁「なるほど、おおよそは解りました。今後のご相談はどういたしましょう?」
尚「どういうことですか?」
弁「順番で各事務所の人間がここで相談を受けているので、
継続的にここで相談は出来ないのです。私で良ければ次回からは私の事務所で
相談に応じますが・・・」
尚「是非今後もお願いします。」
別に尚樹にこだわりがあったわけではない。
単に新たな弁護士に始めから同じ話をするのが苦痛だったのだ。
弁「解りました。次回からここへお出でください。
次の相談の時には、今来ている未返済の請求書を持ってきてください。
それと、これからは簡単なもので良いので『家計簿』付けてください。」
尚「ハイ解りました。」
名刺には「西都第一法律事務所」裏を見ると西都のど真ん中に立地していた。
その十九へと続く
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