昇交点

五藤テレスコープ的天文夜話

はじめてシリウスの伴星を見る

2015-03-31 14:19:31 | 天体観測

星座を構成する星の中で一番明るいおおいぬ座のシリウスにはお供の星がすぐそばで輝いています。お供の星は伴星といいますが、この星は寿命を迎えた恒星が物質を放出しきって燃えカスになってしまった白色矮星という天体です。もとはシリウスを動きを詳しく観測していたら、そばにとても重いけど見えない天体があって、共通重心で互いに回りあっていることがわかりその存在が予言されていました。そして、1861年に望遠鏡職人のオルヴァン・クラークが研磨した口径47㎝の屈折望遠鏡で発見に成功することとなります。

 

この伴星ですが8.4等と暗く、しかもシリウスがとても明るいこともあってこれを見るというのはかなり難易度が高い状況です。そのため大口径の望遠鏡を持っている方や二重星を観測する愛好家にとってチャレンジのしがいがある天体と言えるでしょう。

 

筆者も機会があれば、一度は見てみたいと思っていたのですが、そのチャンスは先週の土曜日にやってきました。先週末から天候が春めいてきたことから大気の気流(シーイング)が安定する日が増えてきました。シリウスが見える頃ほぼ南の空になり伴星を観測するには良い条件です。口径15㎝マクストフニュートン式という望遠鏡に360倍の倍率をかけてシリウスを見ると大気の揺らぎのせいでピタリとは止まりませんが、回折現象によっておきるリングがシリウスをいくつも取り巻いている様子が確認できます。そのリングが見えなくなる先には淡いながら何かポツンと見えてていることに気がつきました。大気の揺らぎが一瞬落ち着くとそのポツンはまちがいなく星であるとわかるようになります。こうしてはじめてシリウスの伴星を見ることに成功しました。

 

もともと難物というイメージが頭の中では先行していたのですが、50年周期で回っている伴星の位置はシリウスから離れつつあり最近は見やすくなっているというわけです。(離れている角度は10秒ほどで、木星の見かけの大きさの1/4程度。)

 

冬の星座たちも西に沈みつつあるので、シリウスの伴星を見るチャンスは少ないかも知れませんが、口径10cm以上の望遠鏡をお持ちの方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。(kon)

 

画像は15㎝のマクストフニュートンにPCカメラをつけて2分間ムービー撮影した画像の中から1000フレームを合成して処理したものです。画像でも伴星がしっかり確認できます。(画像は上が北です。)

 

 


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