冷却剤の「熱さまシート」などユニークな商品で知られる小林製薬の日用品や医薬品が、訪日外国人客に大人気です。「爆買い」が一服してもなお、売り上げが伸び続けている理由とは。小林章浩社長(46)に聞きました。

 ――訪日外国人客への販売が2015年から増え続けています。

 「14年秋ごろ、『熱さまシート』や逆むけを保護する液体ばんそうこう『サカムケア』などが中国のSNSで『神薬』として紹介され、売れ始めた。その後、売れる品目が日用品やサプリメントなどにも拡大して全体的に伸びている」

 「弊社の商品は(隙間を狙った)ニッチ。例えば、『アイボン』のような目を洗う商品は、外国の人も見たことがない。そういうものがたくさんあるので、興味をもって買われているのだと思う。パッケージも、一目見て何に使うかわかることを意識して作っている。『のどぬ~るスプレー』なら、のどにシュッとしている絵で外国人でも使い方が分かる」

 ――主に買っていくのは中国からの旅行客ですか。

 「そうだ。SNSの拡散効果が大きい。女性の下着用洗剤など、日本では売り上げの小さかった商品が爆発的に売れることもある。小林製薬という社名も有名になり、中国で調査したら、日本企業の中でも認知度が高かった」

 ログイン前の続き――どうしてユニークな商品を次々と出せるのですか。

 「もともとは医薬品の卸で、取引先と競合するものは作れなかった。だが、競合が少ない隙間でうまく客に根付けば、シェアが高く、競争が少ない」

 「私を含め全社員が毎月、必ず新商品の案を一つ出すことにしている。集まった約3千件をもとに、毎月のアイデア会議で商品化する案を決める。そういうクセ付けが社内に浸透している」

 ――訪日外国人客からの支持は、海外進出への弾みにもなりますか。

 「中国で医薬品を販売するため、現地メーカーのM&Aを目指している。2年後までには実現させたい。リスクをとりにくい面もあったが、外国の人にも興味をもってもらえると知り、インバウンド需要が投資を進める後押しになった」

 ――人口減少が進む国内での戦略は。

 「高齢化で生活上の不便を感じる人は増える。年配者向けの医薬品や日常の家事がしやすくなるような製品の開発で、まだまだチャンスはある