少ない低平地 山梨県 現況 昭和59年
『角川地名辞典 19 山梨県』
山梨県森林里山大学校 講義
県内のまとまった低平地は甲府盆地に限られ,ほかは小規模の谷底平野が散在するにすぎない。
甲府盆地は松本・諏訪盆地に続く構造盆地で,北側を除きほとんどが周囲を断層崖により限られる。周辺山地は隆起し盆地床は沈降する傾向にあるため,四周の山々から流下する河川による堆積層が盆地周辺ならびに盆地床を埋めている。
盆地床は富士川流出部の鰍沢付近の河岸で235m程度,甲府駅前でおよそ270m,盆地全体の平均で約285mの海抜高度をもつ。
盆地周辺には曽根丘陵・市之瀬台地など丘陵ないし,やや開析された台地のほかに,大木・竜岡・登美台地などがある。
また笛吹川およびその支流の複合扇状地,巨摩山地車麓の複合扇状地があり,これら複合扇状地の多くは合成扇状地的な傾向を示している。
また,荒川・相川扇状地のような若い扇状地もある。
これら扇状地より低い鰍沢から甲府南部,石和南西部にかけては氾濫原となり,低湿であり,地下水の自噴帯となっている。甲府盆地からの流出口は鰍沢付近に限られ,峡谷をなしている。したがって古い時代に一大湖水であったとする説もあるが,堆積物の上からは,今のところ否定的な資料が多く,部分的ないし,小規模な水塊が点在していたと考えられている。
本県の全体としての,地形的な特色をみるため若干の数字を挙げると,県内の標高区分は,海抜1,000 m以上の地が県土の49%を占め,海抜400m未満の地は12%にすぎない。また居住・農業などに適する8°以内の傾料地は17%であり,20°以上の傾料地が62%を占める。
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