▽俳諧向之岡 岡村不卜編
蓮の美有功経て古き亀もあり
又申上野の秋に水無瀬川
**不木 ふぼく 俳人。岡村氏。通称市郎右衛門。別號一柳軒。元禄四年四月九日没。享年不詳。江戸堀江町住。未得門。立羽不角の師。『江戸廣小路』『向之岡』『続の原』の著がある。
(『俳諧大辞典』明治書院による。)
*向之岡 むかいのおか 俳諧撰集。一柳軒不卜編。自序。延宝八年。序文に「ことの葉草はちぼこのちまたにわかれて、いにしへ今の中道を目あてに、広小路を過て向の岡に着ぬ」と見えるように、不卜が二年以前に上梓した『江戸広小路』の後をついで編んだ集。なお書名については、元緑元年に成立した『続の原』の不卜序に「五とせ六とせ先の向の岡は、はいかいの根を尋よと云ふこゝろならし」とあることも参照すべきであろう。上巻を春・夏、中巻を秋・冬に配しい主として当代江戸俳人の発句を類題別に収めている。下巻は未見であるが、当時の適例からすると付句集であったと思われる。集中の作者は不卜一門及び調和・露沾・松意系の人々が多く、他に桃青・宗因・才麿・蝶々子・言水・信章(素堂)・嵐雪・紀子・任口・幽山・露言らの句も散見する。 〔荻野〕
(『俳諧大辞典』明治書院による。)
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