なおさま、はなは、ここにおります
そう言った私を見て
姫は美しい笑顔を見せて駆け寄り
花、やはりあなたは無事だったのですね
よかった
安堵の顔で私を抱きしめる
なお・・・さま?
どうしてそのようなことを考えておられたのですか
花が無事だとかなんとか・・・
私はいつも側におりますよ
この先どこへ行こうとも、何があろうとも
前に話していた場合へ
行ってしまったのではないかと
わたくしをおいて
一人で行ってしまったのではないかと
思っていたのだ
そんなことになれば
わたくしはもう生きてはおれぬ
生きていても意味がないと思っていた
姫は
いつになく神妙な顔つきでそう言ったのだった
さっきまで綺麗に見えていた月が
何だかぼんやりと見える
明日は天気が悪くなるやもしれぬ
ふとそんな事をぼんやりと考えていた