今夜の月は
あの日見た月と同じ綺麗な満月だ
綺麗な満月は
今夜も私を明るく照らしてくれている
月の綺麗な夜は何かが起こる気配がする
あれは全て夢だったのか
どこからが夢でどこからが現実なのか
潰れた携帯電話を持って
携帯会社に行って来た
もうどうにもならない状態らしい
諦めるしかないんやぁ
大きなため息が出た
携帯がないと
何にもできない世の中なんやなぁ
改めて嫌になる
なおに電話をかけたくても
番号すらわからない
登録してしまえば
番号なんていちいち覚えない
仕方ないからそのまま家に帰ることにした
今日、電車でうたた寝をしていた
夢の中で私は電車の事故に遭い
そのまま戦国の時代に
タイムスリップしたかのような錯覚を覚えた
お姫様と一緒に追っ手から逃げ
襲われそうになりながら助けられる
助けてくれたのは・・・誰やった?
ただいま
ごめん、遅くなった
お腹すいたよ、なおはもう食べたん?
部屋に向かって声をかける
帰り着いた部屋に、なおの姿はなく
いつも付けっ放しのキッチンの電気だけが
迎えてくれた
あ、そうか、
朝なおが言っていた言葉を思い出した
今夜はあたし遅くなるから、鍵、閉めて
先寝ておいてね
あ、そうやった、
実家行ってるんや、今夜は泊まるのかな