心のままに・・・

実体験をもとに小説仕立てでお話を書いています。
時々ひとりごとも…

想いは伝わる・・・11

2024-02-08 09:11:00 | 想いは伝わる



結局 
私は来ないだろうと
半ばあきらめながらも 
ひとりで楽しんでいたらしい

まわりはカップルばかりのこの状態で

この人は
どんな顔をして
1人で1時間以上も
この状態でいたのだろうか
きっとまわりの誰もが
気の毒な男性だと思っていただろう
岡崎さんは
私に言い忘れていたこと
アーティスト名を
言わなかったことを
少し後悔していたらしい

おい千秋まさか
あれからまた眠ったのか
よかったぞ
お前遅れてくるから
結局アンコールしか聞けなかったな
あまり寝過ぎると
その
太るぞ

泣いた私を 
笑わそうとしているの?
おどけた顔して
ふざけたことを言っている

本当のことを言うのを 
躊躇した
今夜は
このまま気分よく過ごそう
でも
そのうちきっと
本当のことを素直に話そう

いいえ
話さなくちゃいけない
そんな気がした。



昨日の出来事は
やはり内緒にしておいた方が
いいですよね
書類を持って行った時 
こっそり聞いてみた

うん そうだな
まるで何事もなかったような顔で 
岡崎は頷いた
社内では
岡崎ファンが多いため
迂闊な行動はご法度だ 
なるべく敵は作りたくない
別に付き合いを 
始めたわけではないので
今までどおりにすればいいのだが

それでも私の心に少しだけ
今までにない気持ちが
芽生えたのは事実だし
それより何より
私に対しての岡崎の気持ちを
知ってしまったように思う
決して
私のうぬぼれではない 
だからなおさら

困った

千秋さぁん 
なんだか嬉しそうな顔してますよ
何かいいことあったんですかぁ?

美菜が声をかけてきた

顔に出てたの?
内心どきっとしたが
平静を装って


あら
私は特別なことは何もないわよ
美菜ちゃんこそ
彼とのイブは
どうだったの?


美菜はとろけそうな笑顔で 
ナ・イ・ショ
おどけて私に投げキッスを送ってきた

きっと素敵な夜を 
過ごしたんでしょうね
今が一番いいお年頃 
私もあの年頃が一番楽しくて
素直に自分を出していたと思う
あんな裏切りを受けなかったら
今頃こうして
仕事ばっかりしていなかったわよ
少し意地悪な気持ちになったが
なぜか
うふふ
と美菜につられてニヤケてしまった

思わず周りを見渡す
こんなニヤついた顔
だれにもみられなかったでしょうね