「しもやけ1」
いっとき、ダイエットに異常に執着したことがあった。
結婚した同年輩の友達が、
あれよあれよと太っていくのを見て
「明日は我が身」と心配になってきたからだ。
あれこれ考えた結果、私に一番向きそうなのは油抜きだった。
もともと和食が好きで、
油っこいものを好んで食べるほうではないので
油抜きダイエットは苦痛じゃないだろうと判断したのだ。
それは予想通り、とっても楽だった。
「これはいい具合だわい」
と喜んでいたら、冬場になって、私の体の一部が変調をきたし始めた。
風呂に入りながら、
何とはなしに足の指を眺めていたら、少し赤くなっていた。
どうしたんだろうと触ってみると少し痒い。
水虫ができてしまったかと、あせって調べてみたがそうではない。
たまたま、その日はお湯の温度が少し高めだったので、
足の指が刺激されて痒くなったのかもしれないと思っていた。
ところが段々、日を追うごとに足の指が痒くなってくる。
それも一本が二本になり二本が三本になるという具合に、
だんだん痒みが拡がっていく。
「かゆい、かゆい」と言いながら掻くと
最初は気持ちがよかったのだが、
段々、痛いのとかゆいのが入り混じった、困った状態になってきたのだ。
「もしかしたら・・」
この痒みは子供の頃に経験した覚えがあった。
靴下を脱いでもう一度、調べて見た。
そしてその赤く腫れた指を見て、
私は何十年ぶりに自分の体にしもやけが出来たことを知った。
つづく
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