古いアルバムの中で
セピア色になってしまった 一枚の写真
そこには
あの頃の私と、この山へ導いてくれた友人たちの
光あふれる夏が 今も輝いています。
山へ、そしてまた アルプスへ行くようになった頃から
『 いつの日にか行ってみよう 』 と 思っていた燕岳へ、出かけてきました。
穂高町のしゃくなげ荘に駐車し、バスで 中房温泉にある登山口 (1450m) へ移動
北アルプス三大急登といわれる 合戦尾根を登っていきます。
8月初旬の登山好適期ですから、登山者は当然多く
第一、第二、第三ベンチと 富士見ベンチ、それぞれのポイントでは 多くの人たちが休憩していました。
はるか昔の登山の様子など、全く思い出せないまま
お花の写真を撮りながら、この日はなぜか好調に進み
2375mの
合戦小屋に到着しました。
水で冷やされた 名物のスイカはとても美味しそう
800円と 少々高くても 当然いただいて、そして 気分も新たに出発します。
カラマツソウ/イワカガミ/ムカゴトラノオ
合戦小屋の手前で 左手に見えていた大天井岳は
いつの間にか上がってきたガスに、姿を隠してしまいました。
展望のない稜線を進んで、合戦沢の頭を過ぎると
燕山荘が見えてきました。
燕山荘
あと少し・・・
チングルマ/アオノツガザクラ/コケモモ
この付近になると、お花たちが次々に登場し
写真を撮っているうちに どんどん追い越されてしまいます。
ウサギギク/ミヤマリンドウ/シナノキンバイ
燕山荘の下から、テント場を見ながら 左手に回りこむと、突然、裏銀座の峰々が 姿を現しました。
右側の燕岳は ガスをまとい、全容を見せてはくれません。
昼前だというのに、大天井岳も槍ヶ岳も もうすっかり ガスの中でした。
「お天気がいいし 時間も早いので、大天井岳まで行こう」 と いう夫に
「今日はここに泊まりたい」 と お願いして、二度目の燕岳へ向かいます。
嬉しいことに、進むにつれて 雲が流れ、青空が広がって
山頂が見えてきました。
さらに進んで、山頂へ
東側や北側は すっかり雲におおわれ、安曇野も立山も見えませんが
北燕岳へも、足を伸ばしてみることにしました。
振り返ると、燕岳の山頂が見えています。
ロープで仕切られた斜面には、コマクサが保護されていて
可愛いピンクの花が ちょうど見頃でした。
北燕岳への東側には お花畑が広がり
ハクサンイチゲ、ミヤマキンポウゲ、ミヤマクワガタなどが咲き競っています。
エゾシオガマ/ミヤマクワガタ/クルマユリ
めがね岩や
イルカ岩 ( お見苦しくて失礼 )
あのときも このあたりの岩で 長い事 遊んだっけ。。。
私たちはすっかり年をとってしまったけれど、山は変わらずに迎えてくれました。
ゆっくりと過ごしてから 燕山荘に戻りました。
あら~・・!! なんということでしょう
手渡された荷物札には
30年前と同じ
畦地梅太郎の版画が、印刷されていました。
今日は、お布団一枚に一人で
掛け布団代わりの寝袋は快適そうです。
食事の後には、オーナーのホルン演奏を聴かせてもらいました。
( 宿泊客が多いと 演奏回数が多くなり、体力維持が大変なのだそうです。)
その後は、夕映えを見に出かけます。
心地よい風に身をゆだね、今日の一日を思う 山にいる幸せを感じるひととき
今日一度も姿を見せてくれなかった槍ヶ岳は、まだ雲の中で
残念だったね、明日に期待しよう・・・ そう思っていたとき
茜色の残照に 突然 現れた槍ヶ岳は、小槍を肩にのせた 美しい姿でした。
* * * * 二日目 * * * *
いつものように眠れず、覗いた夜空には満天の星がきらめき ( こんなときは、近視がつらい )
そして、夜明けがやってきました。
燕岳の上を 安曇野からガスが渡り、やがて 槍が輝きじめました。
小屋のテラスで見る朝焼けは、太陽を見て 槍を振り返り
燕岳に目を移し、鹿島槍も見て ・・・と、とても忙しい
コーヒーを飲みながら、刻々と変化する峰々の色を楽しみ
燕山荘と燕岳
明るくなった空の下、大天井岳へ向かって出発しました。
* * * 大天井岳・常念岳 へ続きます * * *