母の言動に感じる“違和感”は増していった。
夫と長男と3人で実家に行ったとき
「凄いねえ、儲かってるらしいじゃないの」
「近所の人たちから“もう働く必要ないんじゃない?娘夫婦を頼れば”って言われてねえ」
「月に○十万もあれば…ねえ?」
冗談のように言ったけれど夫は返事に困っていた。
わたしは顔から火が出そうだった。
ご近所にそんなことを言いふらしているのか。
何もわかっていない。
わたしたちが毎日どれだけ心身をすり減らし
大変な思いをしていることか…
母より年上の、義父母だって懸命に働いている。
夫の妹弟は県外の大学に行っていて
学費と生活費を仕送りしている。
数年前には夫にも同じように仕送りしていた。
義父は公務員で義母も働いていた。
とくに裕福ではない。…というかごく普通だと思う。
実家にいた頃のことを夫に聞いて
つましい生活を送っていたことも知っている。
わたしたちに家庭菜園で採れた野菜や地元の食品・銘菓
義母手作りの子供服やお小遣いまで入った
宅配便を送ってくれてもいた。
それは「おまえはいつ帰ってくるんだ?」
と言っていた頃から変わらない。
変わったのは母だけだった。
わたしには母が理解できなかった。
生活に困っているわけではない。
わりに見栄っ張りで贅沢が好きだ。
思えばこの手の母のぼやきは高校生の頃から聞いていて
居たたまれなくて姉もわたしもアルバイトをしていた。
こうした夫の実家との違いが恥ずかしくて
まともに夫の顔を見られなくなってしまう。
母は寡婦という弱者の立場にあぐらをかいて
常識的なことを何もしてこなかった。
後のことになるが
夫とちょっとした諍いになった時に
「おまえの母親は何なんだ!」
「俺の親が便り(賀状や暑中見舞いを含む)を送っても何の返事もない」
「妹弟の方の親とはちゃんと付き合いがあるんだぞ!」
「○○さんのところはどうなってるの?って言われているんだぞ!」
「どう答えたらいいのか…おまえに俺の気持ちがわかるか!?」
…今まで黙っていてくれたけれど
やっぱりおかしいと思っていたね…
それがあなたの優しさだったのですか…