その後 母は具合が悪くなっていった。
実は母は10年以上前から血糖値が高めで
本当は節制が必要だった。
節制さえすればとくに問題はない、その程度のはずだった。
でも 母はたいしたことないと高を括って
好きなものを好きなだけ摂っていた。
もう少し早く忠告していたら…
と 思いもするけれど
母がわたしの忠告を聞き入れるとは今でも思えない。
まず 目がおかしくなった。
大学病院に通うようになったが良くなることはなく
入退院を繰り返しながら
悪化の道をたどっていった。
母がさかんにわたしに言っていた
「わたしの目の黒いうちは」
「目の黒いうち」
「目の」
好んで使っていたその言葉――
恐ろしい形相でわたしを威嚇していた母の、その目。
あっという間にその目は黒くなくなってしまった。
その時
人に投げつけた言葉はすべて自分に返ってくるのだな…
と思った。
この後、弟が困ってわたしに連絡してきたのだが――