あまの鍼灸院ブログ

鍼灸院での毎日の様子をアップしています。
鍼灸院ってどんなところ?と知っていただけたらうれしいです。

ツボの話〜国家試験〜

2020-02-21 21:01:00 | 日記・エッセイ・コラム
こんにちは!スタッフの松本です。
金曜は「ツボの話」です。今日は国家試験のことと絡めてお話します。

この週末、全国で鍼灸の国家試験が行われます。年に一度の試験、学生の皆さんは気合い充分で挑まれることと思います!
今日の画像は、去年私が受験した27回国家試験会場の写真です(あんまマッサージ指圧師の試験の写真です。
2日連続で、翌日はり師きゅう師の試験が行われます)

そう、鍼灸師は国家資格なのです!
それぞれはり師、きゅう師という別々の資格となっています。
試験はマークシート方式の筆記試験で、厚生労働省によって、以下のような試験科目で実施されます。

医療概論(医学史を除く。)、衛生学・公衆衛生学、関係法規、解剖学、生理学、病理学概論、臨床医学総論、臨床医学各論、リハビリテーション医学
東洋医学概論、経絡経穴概論、はり理論、きゅう理論、東洋医学臨床論

東洋医学だけでなく、現代西洋医学もしっかり学んでいます。
皆さんのお身体に触れて治療を行う訳ですから、いち医療従事者として、
あらゆる勉強をして免許を取得しなければならないのです。

さて、ここからツボの話です!
国家試験では、もちろんツボに関する問題が出題されます。
どんなことが問われるかといいますと、
ツボの並び順、詳細な場所、骨、筋肉、血管、神経との関係。
要穴と呼ばれる、ツボの中でも特別な役割や効果があるツボについての詳細。
WHOが定めた361穴はもちろんのこと、奇穴と呼ばれるツボの場所と主治。
古典的な治療法則から、現代の研究について、などなど。

さらに、臨床的な問題もあります。
実際に過去の問題を見てみましょう!

問:次の文で示す患者の病証に対し、難経六十九難に基づき補法を行う治療穴はどれか。
「40歳の女性。1年前から歩きすぎると膝が痛み、眩暈と手足のひきつりが時々起こる。脈状は弦脈。」(鍼灸第8回)

「55歳の男性。慢性の腰下肢痛がある。倦怠感と耳鳴りを伴う。脈は細弱。」(鍼灸第9回)

「55歳の女性。仕事の悩みから食欲不振が始まり、疲れやすく手足に力が入らない。脈は細。」(鍼灸第22回)

と、このように具体的な患者様を想定した問題が出され、選択肢のなかから適切なツボを選ぶのです。

東洋医学は、主症状だけでなく、その患者さまの性別、年齢、生活背景、脈、お身体全体の状態を把握し、
すべてを総合して適切な治療を考えます。
ですから腰痛や膝痛だけでなく、倦怠感や耳鳴り、仕事の悩みがある…
といったあらゆる情報が問題文に書かれているのです。

なぜ全体を把握する必要があるのか?
それは、患者さまの身体はひとつだからです。
車やロボットのように、部品を集めて作られている訳ではありません。
五臓六腑、精神、すべてのバランスが調和されることが、東洋医学の目指す「健康」なのです。
これを「心身一如」と呼んでいます。

ですから皆さまも当院にご来院の際は、一番困っている症状以外にも気になることを何でもお話ください。
小さな事でもかまいません。
そのお話によって、患者さまひとりひとりに合った治療方法と適切なツボが見つけられるのです。


最後に…
国家試験に挑む学生の皆さん、頑張って!
試験に合格してはじめて、鍼灸師としての長い道のりの第一歩が踏み出せますよ!

金曜日担当、松本でした。

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