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葉月堂鍼療日記

難経四十九難

2024年03月03日 | 経絡治療学会

〇正経が自ら病む場合と五邪に犯されて病む場合の区別論

四十九難曰.有正経自病.有五邪所傷、何以別之。

(四十九難にいう、1つの経絡が病むことがあり、

五邪※中風・傷暑・飲食労倦・傷寒・中湿・により傷る所あり

何をもってこれを区別するのか?)

然.

(しかり、答えいう)

憂愁思慮則傷心.

(憂い悲しみ考えすぎ思いすぎると心を傷る)

形寒飲冷則傷肺.

(身体を冷やしたり、冷たいものを飲食すると肺を傷る)

恚怒気逆、上而不下則傷肝.

(怒りすぎて逆上して肝を傷る)

飲食労倦則傷脾.

(暴飲暴食や労働が過ぎると脾を傷る)

久坐湿地.強力入水則傷腎.

(長い間湿気の多い場所にいたり、力を入れて重いものを持ちあげたり、房事過度だったり

汗をかいたり、水を浴び、浸かったりすると腎を傷る)

是正経之自病也.

(これ正経自ら病むなり)

何謂五邪.

(五邪とは何であるか)

然.

(しかり、答え)
有中風.有傷暑.有飲食労倦.有傷寒. 有中湿.此之謂五邪.

(五邪は中風、暑邪、飲食労倦、傷寒、中湿の五つをいう)

仮令心病.何以知中風得之.

(例えば心病が中風により起こったら何をもって知ることができるのか?)

然.

(しかり、答え)

其色当赤.何以言之.

(その色まさに赤い、何をもってこれをいう)

肝主色.自入為青.

(肝は色につかさどる、自ら入ると青色になる)※肝、風と同じ木性、肝自身を犯せば青色となり

入心為赤.入脾為黄.入肺為白.入腎為黒.

(心を犯せば赤、脾を犯せば黄、肺を犯せば白、腎を犯せば黒)


肝為心邪.故知当赤色.其病身熱.脇下満痛.其脈浮大而弦.

(肝の邪である風が心に入ると、心に熱多くなり赤色になる、

その病は身熱(全身発熱)し脇下満痛、期門周辺が張り痛む、その脈は浮、大して弦になる)

何以知傷暑得之.

(心の病が暑に傷られておこった場合、何によってこれを知ることができるのか?)

然.

(しかり、答えていう)

当悪臭.何以言之.

(それは臭いを嫌うということでわかる)※心は暑と同じ火性)

心主臭.自入為焦臭.

(心は臭いを主る、心が傷られると焦臭い)

入脾為香臭.入肝為臊臭.入腎為腐臭.入肺為腥臭.

(脾を犯せば香ばしいにおい、肝を犯せば臊臭い、腎を犯せば腐れ臭い、肺を犯せば腥臭い)

故知心病傷暑得之当悪臭.

(ゆえに心の病は暑に傷られて発生した場合は臭いを嫌う)

其病身熱而煩.心痛.其脈浮大而散.

(その病は身体全体が熱してもだえ、心臓が痛くなる、その脈浮、大、散になる)

何以知飲食労倦得之.

(何によって知ることができるのか?)

然.

(しかり、答えていう)

当喜苦味也.虚為不欲食.実為欲食.何以言之.

(それは苦味をもって好むことではわかる、虚すれば食欲がなくなり、実すれば食欲亢進、何をもってこれをいう)

脾主味.入肝為酸.入心為苦.入肺為辛.入腎為鹹.自入為甘.

(脾は味を主る、肝を犯せば酸味を、心を犯せば苦味を、肺を犯せば辛味を、

腎を犯せば鹹味を、脾自身犯せば甘味を好む)※飲食労倦と同じ土性

故知脾邪入心.為喜苦味也.

(ゆえに脾邪、飲食労倦の邪が心を犯して病が心に及べば苦味を好む)

其病身熱而体重嗜臥.四肢不収.其脈浮大而緩.

(その病、身熱して、体が重だるく横になりたがり、手足が動かしにくい、その脈は浮、大、緩になる)

何以知傷寒得之.

(心の病が傷寒に傷られて発生した場合は、何によって知ることができるのか?)

(しかり、こたえていう)

当譫言妄語.何以言之.

(それは、たわごと、うわごとをいうことでわかる)

肺主声.入肝為呼.入心為言.入脾為歌.

(肺は声を主る、肝を犯すとさけび、心を犯すとよくしゃべり、脾を犯すとよく歌い)

入腎為呻.自入為哭.

(腎を犯すとうめき、肺自身を犯すと声をあげてなく)

故知肺邪入心為譫言妄語也.

(肺邪が心に及ぶとたわごと、うわごとをいう)※肺は寒と同じ金性)

其病身熱.洒洒悪寒.甚則喘咳.其脈浮大而渋.

(その病は身熱で、ぞくぞくして悪寒する、甚だしいときは喘咳し、脈は浮、大して渋)

何以知中湿得之.

(何をもって中湿によりおこったこと知ることができるのか)

然.

(しかり、答えていう)

当喜汗出不可止.何以言之.腎主湿.

(それは汗がしばしば出て止まらないこと、なぜ汗が止まらないのか、腎は湿、液を主る)

入肝為泣.入心為汗.入脾為涎.入肺為涕.自入為唾.

(肝を犯せばなみだがでる、心を犯せば汗、脾を犯せばよだれ、肺を犯せばはなみず、自ら腎を犯せばつばがでる)

故知腎邪入心為汗出不可止也.

(湿邪、腎病が心に及ぶと汗がでて止まらなくなる)

其病身熱而小腹痛.足脛寒而逆.其脈沈濡而大.

(その病、身熱して下腹部痛み、足脛が冷えて逆上、脈は沈、濡して大)

此五邪之法也.

(これが五邪による病を引き起こす病理、方法なり)

 


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