ロシア、フィンランドのNATO加盟に「報復措置」と警告 欧米は全面支持
4時間前
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ロシアとの国境に位置するイマトラ検問所のフィンランド国境警備隊
ロシア外務省は12日、隣国フィンランドの北大西洋条約機構(NATO)加盟に向けた動きについて、「報復措置」を取らざるを得なくなるだろうと述べた。
ロシア外務省は声明で、この動きは二国間関係だけでなく、北欧の安全保障と安定性にも深刻なダメージを与えると指摘した。
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フィンランドのサウリ・ニーニスト大統領とサナ・マリン首相はこの日、同国が「遅滞なく」NATO加盟を申請するべきだとする共同声明を発表した。同国ではロシアのウクライナ侵攻を受けて、NATO加盟を支持する国民が急増している。
フィンランドはロシアと、全長1300キロにわたり国境を接している。これまでは国境を接するロシアとの対立を避けるため、NATO非加盟の方針を貫いていた。
フィンランド政府は議会や政府高官との協議を経て、15日にも正式にNATO加盟をめぐる決定を発表する予定。また、スウェーデンもこの日に同様の決定を発表するとしている。
NATOのイエンス・ストルテンベルグ事務総長は、両国の加盟手続きは「非常に迅速」に行われるべきだとの見解を示している。
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ロシア外務省の声明(ロシア語)は、フィンランドの動きを「外交政策の極端な変化」だと表現している。
「フィンランドのNATO加盟は、ロシアとフィンランドの二国間関係や北欧地域の安定と安全保障の維持に深刻なダメージを与える」
「ロシアは、このことから生じる国家安全保障への脅威を中和するため、軍事技術的な面でもその他の面でも、報復措置を取らざるを得なくなる」
一方で、ロシア政府は報復措置の具体的な内容については言及していない。
ロシアのドミトリー・ペスコフ政府報道官は記者団に対し、「すべては、NATOの拡大プロセスがどのように展開されるか、軍事インフラがどの程度、我々の国境に接近するか次第だ」と話した。
しかし、フィンランドやスウェーデンがNATO加盟に動いたのは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領自身に原因があるとの声も出ている。
BBCのカティヤ・アドラー欧州編集長が取材したフィンランド外交関係者は、ウクライナ侵攻前の両国は、NATOに加盟するのではなく、NATOに協力する姿勢を好んでいたと指摘。それがロシアのウクライナ侵攻と激しい領土拡大主義によって変わってしまったという。
NATO加盟で「安全保障強化」
フィンランドのニーニスト大統領とマリン首相は共同声明で、「NATO加盟によってフィンランドの安全保障は強化される」と説明した。
また、「フィンランドが加盟すればNATO全体も強化される」と述べ、遅滞のないNATOへの加盟申請が必要だとの認識を示した。
ニーニスト大統領は、その後の記者会見でロシアの懸念に言及するとともに、ロシアのウクライナ侵攻を非難した。
「NATO加盟は誰と敵対するものでもない。原因はロシアが作った。鏡を見るべきだ」
フィンランドで先週行われた世論調査では、NATO加盟への賛成意見が76%、反対が12%と、ウクライナ侵攻以前から大きく賛成へと傾いた。
フィンランドとソヴィエト連邦は、第2次世界大戦で敵国同士だった。ソ連は1939年にフィンランドに侵攻したが、激しい抵抗にあい、撤退した。
しかし、フィンランドはこの戦いの和平条約で国土の10%を失い、冷戦中は中立を貫いた。
フィンランドがNATOに加盟すれば、ロシアとNATO加盟国が接する国境は現在の2倍近い長さになる。一方のスウェーデンは、ロシアとは国境を接していない。
【解説】 フィンランドはNATOに加盟するのか、ロシアの反応は?
西側諸国の意見は
西側諸国からはフィンランドの動きを支持する声が出ている。
フランス大統領府(エリゼ宮)は、エマニュエル・マクロン大統領とフィンランドのニーニスト大統領との電話会談の後、「フィンランドが迅速にNATOに加盟するという主権的選択を全面的に支持する」と発表した。
ドイツのオラフ・ショルツ首相は、ニーニスト大統領との電話会談で「フィンランドへの全面支持を確約した」とツイートした。
アメリカでは、上院外交委員会のボブ・メネンデス委員長(民主党)が議会公聴会で、フィンランドとスウェーデンがNATO加盟申請をした場合には「確実に素早く検討するため、すでに取り組んでいる」と述べた。
同委員会の共和党筆頭委員、ジム・リッシュ議員は、この発表を「大西洋間の安全保障の未来にとって、非常に大きな前進」だと述べ、申請手続きを通じてフィンランドを支援すると話した。
<解説>フィンランドのNATO加盟、1年かかる可能性も ――ジェイムズ・ランデール外交担当編集委員
フィンランドはNATOのトップから、加盟手続きに最大1年かかると言われている。
フィンランド政府はかねて、NATO加盟の手続きは「スムーズかつ迅速」なプロセスになると約束されていた。
しかし、フィンランドのペッカ・ハーヴィスト外相は記者団に対し、NATOのストルテンベルグ事務総長が批准手続きには4~12カ月かかると述べていることを明らかにした。
NATO加盟30カ国の議会はこの期間内に、フィンランドの申請を検討し、支持するならば正式にそのように表明する。
これは重要な点だ。申請から加盟までの「グレーゾーン」と呼ばれる期間中、フィンランドはNATOが提供する安全保障を完全に享受できないからだ。
ハーヴィスト氏は、イギリスのボリス・ジョンソン首相が「グレーゾーン期間中に、英国が軍事的手段を含む多くの方法でフィンランドを助けられると、非常に明確に表明した」と述べている。
また、フィンランドはフランス、スペイン、ドイツ、トルコと二国間協議を行い、申請手続き中の軍事支援を同様に確保しようとしていると明らかにした。
(英語記事 Russia threatens retaliation for Finland Nato move / Live Page)