勝又壽良のワールドビュー
好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。
韓国、「老衰経済」消費者物価10ヶ月連続で低迷、「日本病は不可避」
2019年11月03日カテゴリ:
韓国は、文在寅という希有の大統領を選んだ結果、経済的に沈没する羽目になっている。
日本を蛇蝎(だかつ)のように嫌い、日本と異なる国づくりを目指し、はまり込んだ穴である。
日本は株式と不動産の資産バブルに落込み、苦難の道を歩まざるを得なかった。韓国は、
その日本を長く嘲り笑い、追い抜ける対象と錯覚したが、ついにそれが幻覚であったことに気付かされている。
韓国経済が、老衰状況に陥っているのだ。もはや、「反日」騒ぎの余力はなくなってきている。
韓国の出生率は、異常な低下に見舞われているからだ。合計特殊出生率は、人類の歴史において初めて「1」を割込み、このまま進めば「自然消滅」の危機すら話題に上がるという異常な事態を迎えている。
だが、文政権にも韓国にもそういう危機感は全く見られない。
韓国経済の全般的な危機は、年初来の消費者物価上昇率が「0%台」に落込んでいることに表れている。
日本もそういう経験を踏んでいるが、バブル経済崩壊というハッキリした理由があった。
韓国には「これといった」特別の理由があるわけでない。
内需低迷が、もたらした現象である。出生率低下も同じ理由である。韓国経済は、「老衰」という自然消滅現象に見えるのだ。
『中央日報』(11月2日付)は、「韓国、通貨危機当時より長い物価安、10カ月連続で上昇率1%未満」と題する記事を掲載した。
10月まで10カ月連続で1%未満の物価上昇率が続いているが、韓国政府はこれという解決策を見いだせずにいる。
経済学界のほか国策研究所も国内外の消費が減少した「総需要減少」を原因と考えている。
しかし政府は国際原油価格や農畜水産物価格など供給側の要因に目を向けていて需要側の対策にはつながらない状況だ。
(1)
「統計庁が11月1日に発表した「10月の消費者物価動向」によると、先月の物価上昇率は前年同月比0%だった。
物価は今年1月から7月まで0%台が続き、8月にー0.04%で過去初めてマイナスとなった。
9月には-0.4%に下落幅が拡大した。10カ月連続で1%を下回ったのは通貨危機直後の8カ月連続(1999年2月-9月)より長い」
韓国の潜在成長率は、2.5%程度ある経済である。
現実には、2%割れが確実視されているので、需要不足による消費者物価安は明らかである。
(2)
「問題は、政府が物価下落要因に挙げてきた農畜水産物価格が10月には下落幅を大きく縮小したにもかかわらず物価上昇率が0%にとどまっている点だ。
10月の農畜水産物価格は3.8%下落し、前月(-8.2%)に比べて下落幅が縮小した。
特にハクサイ・ダイコン価格は1年前よりそれぞれ66%、89%上がるなど野菜類価格の下落幅は1.6%へと大幅に縮小した。
9月に農産物が13.8%下落し、全体の物価を引き下げた状況とは違った」
政府は、物価不調の理由を供給要因に求めている。しかし、現実の動きは需要不足に理由のあることを示している。
(3)
「内需景気の「体温計」の役割をするコア物価指数も0.8%の上昇にとどまった。
コア指数とは季節的要因で物価が上下する農産物・石油類などを除いた物価だ。コア指数は7月を除いて今年3月から0%台が続き、韓国銀行(韓銀)の適正物価管理水準(2%)に長期間達していない。
(4)「
専門家の評価は違う。
9月の「マイナス物価」の原因となった農産物価格が上がったにもかかわらず依然として物価が上がらないのは民間の消費不振による総需要委縮と説明しなければいけないということだ。
9月の民間消費は1年9カ月ぶりの最大減少幅(-2.2%)だった。
スーパーマーケット・大型マート・デパートなど大半の流通現場で消費が減少したことが分かった。
こうした分析は国策研究所からも出てきた。
韓国開発研究院(KDI)は10月28日の報告書で「(物価安は)政府の福祉政策や特定品目が主導したというより、多数の品目で物価が低下して表れた現象」とし「一時的な供給要因だけでなく需要側の要因も主に作用した」と診断した」
下線を引いた部分が、消費者物価安の本当の理由であろう。需要不足である。
失業者が増えている社会で、消費者物価が上昇するはずがない。
日韓関係の悪化による「反日不買」が、消費者の不安心理を高めている。
これが、消費者物価に跳ね返っていることは疑いない。
韓国の消費者は、政治不安に対してきわめて敏感な体質である。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます