日米「脱・中国工場」で瀕死の習近平…トランプがTikTok、WeChat禁止令でとどめ刺すしかしアップルも重傷負うことに…
ホンハイ劉会長「中国が世界の工場だった時代は終わった」
コロナ以前では中国が「世界の工場」として大量生産を担い、世界の工業製品の価格を下落させました。
それによって、アップルなどの企業は開発研究という「付加価値を高めることに集中」することができたわけです。
ある意味、米中(台湾)の企業は互いに支え合ってきたとも言えるでしょう。
現在、コロナにより多くのテクノロジー企業がサプライチェーンの見直しを迫られています。
「中国が世界の工場だった時代は終わった」と鴻海(ホンハイ)の劉会長は発言していますが、事態はそう、シンプルではないのです。
「脱・中国工場」を急いでいるのはホンハイだけでなく、台湾のライバル企業・中国の新興企業も同じ。
ホンハイ傘下の女性工員が創業した中国の立訊精密工業(ラックスシェア)が台湾EMS(受託製造)の工場を買収し、本家・ホンハイを脅かすまでに成長しており、「世界の工場」の勢力図が変わる可能性が出てきています。
新型コロナウイルスの蔓延をきっかけに中国一極集中のリスクを再認識し、各国はサプライチェーンの切り離しを検討しています。
中国から外資が撤退する、いわゆる「デカップリング」が進めば中国経済には大打撃、その失速に歯止めがかからないとの議論が巻き起こっています。
しかし本当にそうでしょうか。
実は、この「デカップリング」が進む中でiPhoneの生産を担う台湾企業が、中国企業に一部買収され、中国の手に落ちたのです。
これに対してホンハイ精密工業の焦りは隠せない。
iPhone生産の台湾勢が中国企業と手を組んだ
米アップルのEMS(受託製造)は今まで、台湾企業である、ホンハイ、ペガトロン、ウィストロンの3社がほぼ独占的に生産を担ってきました。
iPhoneの生産シェアの概算は日経新聞の報道によれば、ホンハイ(64%)、ペガトロン(31%)、ウィストロン(5%)とホンハイが圧倒的な地位を誇っています。
しかし、7月に入り地殻変動が大きく動き出し、中国EMSであるラックスシェアが台湾企業であるペガトロンとウィストロンと資本提携。
さらに、ウィストロンは中国工場の一部をラックスシェアに売却を決め、ペガトロンも傘下企業をラックスシェアに売却するとの観測報道に激震が走っています。
今まで、iPhone生産の圧倒的なシェアを誇っていた「ホンハイ」と「中国+台湾連合」の新しい対立構造が誕生したわけです。
実は、ラックスシェアは中国にある鴻海傘下の工場の女性工員の王来春氏が独立して創業した企業です。
ホンハイのモデルを徹底的に学び、今年の2月にはラックスシェアがホンハイの時価総額を追い抜くまで成長しています。
ラックスシェアのiPhone本体の生産参入は悲願であり、ホンハイのライバル企業であるペガトロン、ウィストロンとの資本業務提携によってかなえたのです。
特に、ウィストロンは廉価版iPhone組み立てやサプライチェーン管理の経験や技術を持っています。
これらのノウハウを、ラックスシェアと共有するわけです。
ウィストロンの工場の買収は年末までに完了し、来年からiPhoneの組み立て生産が始まる見通しです。
ホンハイの傘下の女性工員であった王来春氏は、広東省の農村出身で学歴は中卒。まさに、「チャイニーズ・ドリーム」を体現した人物。
弟子が師匠を脅かすまでに成長し、iPhone生産のシェアを奪い取り、ホンハイの未来すら脅かすまでに成長したのです。
中国企業のEMS参入をアップルが後押し
しかも、このラックスシェアの成長の背景には、「アップルの後押し」があったとも言われています。
iPhoneは廉価版が好調であり、今後、コストをできるだけ抑えることが必要になってきます。
そのためには、従来のような、台湾EMSによる独占状態では競争に限界もあり、コストを下げることができないのです。
中国企業のEMSに参入により、調達先を多様化させ、コストを下げるのがアップルの狙いなのです。
日経新聞によれば、「世界販売約2億台のうち、中国で売る約3000万台は中国メーカーを中心に作らせる」とし、その担い手がラックスシェアと台湾勢ということになり、ホンハイの中国での優位が崩れることになります。
そして、今回の台湾EMS工場の買収は中国が国を挙げて推進してきたことの体現でもあるのです。
習近平が2015年に「中国製造2025」を発表し、半導体や通信、自動車といったハイテク関連産業に対する産業補助金を出しています。
ラックスシェアをはじめとして中国の上場企業に年間2兆円以上もの補助金が出ており、多額の資金力を持つ企業に、台湾EMS企業はなびくことを選んだのです。
中国の補助金政策は、中国が海外企業や技術を買収する資金になっている側面があります。
米中貿易戦争が長引くなかで、アップルがラックスシェアなどの中国企業への生産委託に依存するのはリスクを孕みます。
アップルは米中貿易摩擦のリスクに備えて、昨年6月時点で大手サプライヤーに生産拠点を多様化させ、東南アジアに移す可能性を検討するよう求めたと報じられています。
ホンハイ含めて、サプライヤーはiPhoneのような最終メーカーから望まれるもの・望まれるやり方でサービスを提供しない限り生き残ることができ…
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