文政権“断末魔”のもがき 朴槿恵判決先送りが示す“窮地”
韓国の最高裁は29日、親友女性と共謀して財閥のサムスングループなどから巨額の賄賂を受け取ったとの収賄罪などに問われた前大統領・朴槿恵被告(67)の上告審で、懲役25年などの二審判決を破棄し、ソウル高裁に審理を差し戻した。
判決の先送りともいえる判断の背景には、朴被告を絶対に“シャバ”に出したくない意向の文在寅大統領(66)による窮余の策があるとの声もある。
レームダックに陥ったともいえる文政権の行方は――。
朴被告には二審で懲役25年のほか、罰金200億ウオン(約17億4000万円)の実刑判決が出ていたが「政治報復」を主張していた朴被告は上告せず、懲役30年を求めた検察だけが上告していた。
最高裁は、朴被告と親友の崔順実被告は、収賄の共犯関係にあったと指摘した。
朴被告には収賄罪が成立すると判断。
ただ、朴被告は職権乱用罪などにも問われており、最高裁は二審判決が収賄罪とそれ以外の罪に対する量刑は別々に言い渡すとの法規定に反しているとして差し戻した。
一方で賄賂の額は二審より多いと判断され、差し戻し審の判決はさらに重くなるとみられる。
今回の上告審判決は、韓国が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を表明した22日に突如、セッティングされた。
最高裁長官および裁判官には文大統領の息がかかっており、判決を“政治利用”するのは明白だった。
元韓国国防省北朝鮮分析官で拓殖大学主任研究員の高永テツ氏は「先延ばしともいえる判決となったのは、朴前大統領が反政権派のシンボルになるのを恐れたからでしょう。
朴氏は病気を訴え、判決が確定すれば、治療のため保釈せざるを得ない可能性があった。
保釈されれば文政権を追い出そうとデモを行っている朴槿恵支持派の保守系、一般国民を勢いづかせることになる」と分析する。
文政権はかつてない窮地に陥っている。
文大統領の最側近で、次期法相に内定しているソウ国(チョ・グク)前民情首席秘書官に、娘の大学不正入学や奨学金不正受給疑惑が噴出。27日には検察が関係先を一斉捜索し、政権の不支持率は50%を上回った。
この捜査を命じたのは先月、検察トップの検事総長に就任した尹錫悦氏だ。
尹氏は朴被告の収賄事件の捜査責任者で、李明博元大統領の不正事件も手掛けた。
文大統領寄りとみられる尹氏が、ソウ氏のスキャンダルの捜査を指揮したため“ポーズ”説も出ているが、高氏はこう否定する。
「ソウ氏の娘の疑惑にとどまらず、文大統領の息子にも不正疑惑が取りざたされている。
いわば時限爆弾を抱えている状況で、政権と共倒れしたくないと考えた尹氏は“検察としての原理原則”を主張し、強制捜査に踏み切った。
文大統領は尹氏を検事総長、ソウ氏を法相に据え、司法を完全に支配下に置こうとしたが、検察がクーデターを起こしたようなもの。
文大統領からすれば飼い犬が虎となって、手をかまれた」
一方、文大統領支持派は反日デモを繰り返し、韓国の障害者スポーツ団体は東京パラリンピックのメダルが旭日旗を連想させると反発。
近く、国際パラリンピック委員会や大会組織委員会に抗議するという。
文大統領も29日の閣議で「(日本政府は)過去の過ちを認めも謝りもせず、歴史を歪曲する」と批判した。
強硬な反日姿勢を取ることだけが、政権を維持する最後のトリデともいえるからだ。
それでも韓国国内では、文政権への反対・弾劾デモは日増しに拡大の一途。
前出の高氏は、文大統領が朴被告や不運の最期を迎えた歴代大統領と同じ道をたどるとみている。
「ソウ氏を法相に据えることは無理で、強硬に動けばさらに文政権は支持率低下を招くだけ。
来年4月の総選挙でも文政権の惨敗は必至。それまでに弾劾や軍部のクーデターが起きてもおかしくない状況で、文大統領は海外亡命する可能性もある」
すべては悪あがき、その場しのぎでしかない文政権。もはや“余命”は、いくばくもないのか。
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