韓国統一地方選で与党が圧勝 野党は軒並み苦戦 尹大統領の国政運営弾みに
2022年6月2日 21時32分
【ソウル=木下大資】
1日に投開票された韓国の統一地方選で、尹錫悦ユンソンニョル大統領を支える保守系与党「国民の力」が17の主要市・道の首長選のうち、首都ソウルや釜山など12カ所を制するなどして圧勝した。
国会では少数与党の状況が続くが、地方選で民意を得たことで尹氏の国政運営にも弾みがつきそうだ。
革新系野党「共に民主党」は地盤の南西部以外で軒並み苦戦。
首都圏の京畿道キョンギド知事選では元経済副首相の金東兗キムドンヨン氏が国民の力の金恩慧キムウネ氏に競り勝ったが、14カ所で勝利を収めた4年前の前回選から一転、5カ所での勝利にとどまった。
党指導部は2日、惨敗の責任を取って全員が退任した。
同時に実施された国会議員補選では、大統領選で尹氏に敗れた李在明イジェミョン氏が当選。
ただ、出馬によって党の印象を損なったとして責任論が浮上している。
尹氏は先月の就任後、早々にバイデン米大統領との首脳会談を実現。
新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた業者に対する補償を含む補正予算を成立させるなど、国民の好感を得た。
国民の力の権性東クォンソンドン院内代表は2日、「民心は国政の安定を選んだ。地方選圧勝で政権交代を完成させてくれた国民に感謝したい」と述べた。
◆敗れた野党・民主党 内紛や強引な法改正が響く
韓国で1日に投開票された統一地方選で保守系与党「国民の力」が大勝したのは、先月発足した尹錫悦大統領の政権安定を求める民意に加え、革新系野党「共に民主党」の内紛や強引な国会運営が響いたためとみられる。
尹氏は選挙結果を「経済を活性化させ、生活を良くしてほしいという国民の意思と受け止める」と述べ、民意を追い風に国政運営を加速させる決意を示した。
3月の大統領選で政権交代を許した共に民主党は、ネットを利用した性犯罪などを告発してきた26歳の朴志玹パクチヒョン氏を党実質トップの共同非常対策委員長に迎え、出直しを図った。
だが党幹部を務めた50代議員のセクハラ問題が発覚し、党支持率は低迷を続けた。
朴氏は先月下旬、1980年代に民主化運動を経験した50代議員らが身内の不祥事に甘いと批判し、「勇退」を提案。古参の党幹部らから一斉に反発を受け、朴氏は謝罪に追い込まれた。
30代の党関係者は「若き女性リーダーの朴氏を据えたのは単なるパフォーマンスで、ベテラン議員が既得権益を手放す気はなかったとの印象を与えてしまった」と悔しがる。
文在寅ムンジェイン前政権の任期終盤、国会で過半数を占める共に民主党が、検察の捜査権を縮小する法改正を強行採決したこともマイナス要因となった。
国民の力の関係者は「共に民主党は今回、国会で多数派でも強引なことをすれば、選挙で惨敗すると学んだはずだ」とし、尹政権への協力を求めた。
大統領選で敗北した李在明氏は国会議員補選に首都圏の仁川インチョン市の選挙区から出馬したが、国内線が多いソウル金浦キンポ空港を国際線中心の仁川空港に移転し、跡地の都市開発を進める公約を唐突に掲げた。
党内外から「自らの選挙を有利に進めるための公約で、地方軽視だ」などと批判を招いた。
李氏は8月の党代表選への出馬が取り沙汰されるが、党内では「李氏だけが生き残り、仲間を死なせた」などと批判も高まっている。
(ソウル=相坂穣)
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