夕刊フジ
「中国は最大の脅威」と認識したトランプ氏 習氏真っ青の“兵糧攻め”で締め付け
ドナルド・トランプ米大統領が、世界を翻弄している。
6月12日に、シンガポールで行われた「歴史的な」米朝首脳会談で、特異な髪形をした2人が、仲よしを演じた。
「水と油」か「鰻と梅干し」のような組み合わせだったのに、トランプ氏は「大成功だった」と、胸を張った。
その3日後に、トランプ氏は中国を狙い撃ちにして、500億ドル(約5兆5600億円)の中国製品に25%の追加関税をかけることを発表した。
中国は、米国と貿易戦争を戦うのは不本意だったが、メンツがある。同額の米国製品に25%の関税をかけて応じた。
トランプ政権は中国の対応によっては、2000億ドル(約22兆2560億円)分の中国製品の税率を25%に引き上げると警告していたが、8月1日にそうすると発表した。
この“トランプ砲”に対し、中国の習近平国家主席は真っ青だ。中国が米国から輸入している総額は1500億ドル(約16兆6920億円)しかなく、さらに600億ドル(約6兆6760億円)相当の米国製品に報復関税をかけると発表したものの、米国と対等に渡り合いたくとも、できない。
習氏が「偉大な中華民族の復興」と叫んでも、これまで中国経済は米国市場から稼ぎ出す黒字によって、支えられてきた。米国に寄生してきたのだ。
トランプ政権は、中国を「米国にとって、最も重大な脅威」とみている。もはや北朝鮮は、米国にとって最大の脅威ではない。
中国はかねてから、南シナ海の7つの人工島を埋め立てて、「古代からの神聖な領土だ」と主張してきた。習氏が2015年に訪米し、当時のオバマ大統領と共同記者会見を行ったときに、7つの島を「軍事拠点化しない」と約束した。
だが、長距離爆撃機や、ミサイルを配備するようになった。習氏は虚言症を患っている。
オバマ政権以来、米国は中国が主張する7つの人工島の領海に、海軍艦艇を通過させる「航海の自由作戦」を実施してきたが、中国からみて“遊覧航海”のようなものでしかない。
そのかたわら中国は大軍拡と、金にまかせてアジアからヨーロッパに至る、壮大な「一帯一路」戦略を進め、パキスタン、スリランカ、紅海の出口などに、軍事基地を確保している。
もし、南シナ海を占有することを放置したら、中国が世界をのみ込みかねない。
トランプ政権は、中国を「兵糧攻め」にすることを決めている。そこで、習氏は米国に譲歩せざるを得ない。一体、ワシントンに何を朝貢するのだろうか。
その脇で、北朝鮮はどうなるのだろうか。
■加瀬英明(かせ・ひであき) 外交評論家。1936年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、エール大学、コロンビア大学に留学。「ブリタニカ百科事典」初代編集長。福田赳夫内閣、中曽根康弘内閣の首相特別顧問を務める。松下政経塾相談役など歴任。著書・共著に『「美し国」日本の底力』(ビジネス社)、『新・東京裁判論』(産経新聞出版)など多数。
「中国は最大の脅威」と認識したトランプ氏 習氏真っ青の“兵糧攻め”で締め付け
ドナルド・トランプ米大統領が、世界を翻弄している。
6月12日に、シンガポールで行われた「歴史的な」米朝首脳会談で、特異な髪形をした2人が、仲よしを演じた。
「水と油」か「鰻と梅干し」のような組み合わせだったのに、トランプ氏は「大成功だった」と、胸を張った。
その3日後に、トランプ氏は中国を狙い撃ちにして、500億ドル(約5兆5600億円)の中国製品に25%の追加関税をかけることを発表した。
中国は、米国と貿易戦争を戦うのは不本意だったが、メンツがある。同額の米国製品に25%の関税をかけて応じた。
トランプ政権は中国の対応によっては、2000億ドル(約22兆2560億円)分の中国製品の税率を25%に引き上げると警告していたが、8月1日にそうすると発表した。
この“トランプ砲”に対し、中国の習近平国家主席は真っ青だ。中国が米国から輸入している総額は1500億ドル(約16兆6920億円)しかなく、さらに600億ドル(約6兆6760億円)相当の米国製品に報復関税をかけると発表したものの、米国と対等に渡り合いたくとも、できない。
習氏が「偉大な中華民族の復興」と叫んでも、これまで中国経済は米国市場から稼ぎ出す黒字によって、支えられてきた。米国に寄生してきたのだ。
トランプ政権は、中国を「米国にとって、最も重大な脅威」とみている。もはや北朝鮮は、米国にとって最大の脅威ではない。
中国はかねてから、南シナ海の7つの人工島を埋め立てて、「古代からの神聖な領土だ」と主張してきた。習氏が2015年に訪米し、当時のオバマ大統領と共同記者会見を行ったときに、7つの島を「軍事拠点化しない」と約束した。
だが、長距離爆撃機や、ミサイルを配備するようになった。習氏は虚言症を患っている。
オバマ政権以来、米国は中国が主張する7つの人工島の領海に、海軍艦艇を通過させる「航海の自由作戦」を実施してきたが、中国からみて“遊覧航海”のようなものでしかない。
そのかたわら中国は大軍拡と、金にまかせてアジアからヨーロッパに至る、壮大な「一帯一路」戦略を進め、パキスタン、スリランカ、紅海の出口などに、軍事基地を確保している。
もし、南シナ海を占有することを放置したら、中国が世界をのみ込みかねない。
トランプ政権は、中国を「兵糧攻め」にすることを決めている。そこで、習氏は米国に譲歩せざるを得ない。一体、ワシントンに何を朝貢するのだろうか。
その脇で、北朝鮮はどうなるのだろうか。
■加瀬英明(かせ・ひであき) 外交評論家。1936年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、エール大学、コロンビア大学に留学。「ブリタニカ百科事典」初代編集長。福田赳夫内閣、中曽根康弘内閣の首相特別顧問を務める。松下政経塾相談役など歴任。著書・共著に『「美し国」日本の底力』(ビジネス社)、『新・東京裁判論』(産経新聞出版)など多数。
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