勝又壽良の経済時評
日々、内外のニュースに接していると、いろいろの感想や疑問が湧きます。それらについて、私なりの答えを探すべく、このブログを開きます。私は経済記者を30年、大学教授を16年勤めました。第一線記者と研究者の経験を生かし、内外の経済情報を立体的に分析します。
2017-11-09 05:00:00
韓国、「仰天」文大統領が日米韓会談で「日本は同盟」でない!
中国におもねて「日本批判」、事大主義が招く韓国の行く末
トランプ米大統領が11月8日、韓国国会で演説した。
その冒頭部分で、トランプ氏は朝鮮戦争後の韓国の大発展に言及した。
言外に、韓国の繁栄の基礎には米軍が韓国を防衛した歴史があることを示唆したものだ。
韓国に見られる「反米・親中朝派」へのけん制であろう。
韓国は、熱しやすく冷めやすい国民である。過去に受けた恩顧を忘れて居丈高に振る舞う。
この好例が日本に対しても見られる。
文在寅大統領は9月に、日本をビックリさせる発言をしていた。
トランプ大統領と安倍首相の前で、「日本は同盟でない」と言い切っていたのだ。
大見得を切った積もりだろうが、日本としては聞き捨てならぬ発言だ。
この「レッドライン」を超えた発言が飛び出していた以上、日本は韓国へ一切の支援をする必要性もなくなった。
天皇「訪韓」もとんでもない話である。
同盟でない国へ日本の象徴である天皇ご訪問は礼に反する行為であるからだ。
韓国は、前記のように日本へ「縁切り」発言をしていた。
それにも関わらずその後、文大統領も康外相も揃って、日本へ全面的協力を依頼していたのだ。
こういう「二枚舌」は、どういう心境で出てくるのだろうか。日本人には理解不能である。
その時の感情にまかせた発言というほかない。
まさに「感情8割、理性2割」の民族である。
この流れで、次のような「文発言」が生まれている。
THAAD問題で中韓の妥協を背景に、再び中国へ媚びる姿勢を見せ、返す刀で「日本批判」を始めているからだ。
「日米韓三カ国同盟はあり得ない。日本は北朝鮮問題をきっかけにして軍事大国を狙っている。
それはアジアにとって不安の種になる」という発言だ。呆れる内容である。
北朝鮮の核問題が、韓国へもたらす危険性を顕在化させ始めている中で、中国へ尻尾を振り日本を袖にする。
なんとも不可思議な言動をしたのだ。
朝鮮半島は、歴史的に中国の支配下にあった関係で、「事大思想」に染め上げられている。
最後の拠り所は、日本よりも中国である。文大統領発言には、そういう潜在意識が透けて見えるのだ。
以上の、韓国大統領の精神的な「ぐらつき加減」を、具体的にメディア報道で検証したい。
『聯合ニュース』(11月5日付)は、「文大統領、『日本は同盟でない』、9月の韓米日首脳会談で」と題して、次のよう伝えた。
文大統領は、「日本と同盟でない」言い切った。
よく考えてみると、日韓は同盟条約で結ばれていないが、日米同盟と米韓同盟の関係から言えば、米国を介して間接的な関係による「準同盟」くらいには当たるはずだ。
韓国大統領から改めて、日韓が「同盟でない」と言われてみると最早、韓国との関係は再検討すべきであろう。
韓国が困ったときに「日本頼み」するとしても今後は一切、応じる必要はなさそうだ。
日本は、韓国と「縁切り」するまたとない機会を貰ったようなもの。
「韓国よ、縁を切ってくれて有難う」だ。
(1)「韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が9月に米ニューヨークで行われた韓米日首脳会談で、
『米国は韓国の同盟だが日本は同盟ではない』と明言したと、
青瓦台(大統領府)関係者が11月5日、聯合ニュースに明らかにした。
文大統領の発言に対しトランプ米大統領は『理解する』と答えたという。
文大統領が日本との同盟関係について明確に線引きをしたのは、
韓米日3カ国の安全保障の協力が軍事同盟に発展することは受け入れられないとの立場を強調するためとみられる。
文大統領は11月3日、シンガポールメディアとのインタビューでも、北朝鮮の核・ミサイルを巡る韓米日の連携について、『軍事同盟の水準にまで発展することは望ましくない』との見解を示した」
文大統領は、「北朝鮮の核・ミサイルを巡る韓米日の連携について、『軍事同盟の水準にまで発展することは望ましくない』」との判断を下した。
これは、日本側にとっては、「ラッキー」である。
朝鮮半島有事の際、自衛隊が参戦せざるを得ないという最悪事態を免れるわけで感謝すべきであろう。
朝鮮半島が仮に「火の海」になっても、日本は傍観していれば良いのだ。ありがたい話である。
文氏は、日韓が軍事同盟を結ばないまでも、「協力関係」を作り上げることすら否定している。
「韓国の国民感情が許さない」そうだ。
ならば、日本にも韓国に対する国民感情がある。
お互いに日韓の溝を認め合っている以上、韓国は日本の収集する軍事情報の利用も止めるべきだ。全て自力で収集すれば事が済む。
(2)「これは韓米日軍事同盟に対する中国の懸念を払拭(ふっしょく)すると同時に、軍事同盟を結ぶほど韓日関係が整理されていないとの判断を示したものと受け止められる。
旧日本軍の慰安婦問題に対する責任を日本がきちんと果たしていないといった韓国の国民感情を踏まえて同盟は考慮できないとの立場を示したものだ。
軍事同盟となれば合同軍事演習で日本の自衛隊が韓国の領海や領空に入ることになるが、
韓国の国民感情的に受け入れるのは難しい上、朝鮮半島で有事が発生した場合に自衛隊が朝鮮半島入りする根拠となる点も懸念される。
青瓦台関係者は、『国民感情から日本との関係は制限的な協力関係にならざるを得ない。軍事同盟にまで発展すれば国民が受け入れられない』と強調した」
ここでもまた、慰安婦問題の登場である。
「旧日本軍の慰安婦問題に対する責任を日本がきちんと果たしていないといった韓国の国民感情を踏まえて(韓日)同盟は考慮できない」としている。
韓国は、勘違いしている。日本が「日韓同盟」をお願いしているのではない。
日本が、韓国から軍事的に救援を受ける事態は想像できない以上、日本が韓国を救援するケースが前提である。
主客転倒した議論はお断りである。
文氏がこういう態度に出てきた背景は、最近のTHAADを巡る中韓の和解がある。
日本に頭をさげなくても中国が側についている、という子供じみた振る舞いだ。
あれだけ中国から報復されても、まだ目が覚めずに中国へにじり寄る。御しがたい民族と言うほかない
『ハンギョレ』(11月4日付)は、「文大統領、韓米日軍事同盟への発展は望ましくない」と題して、次のように語った。
この記事では、韓国が「日韓同盟不要説」の根拠がはっきりしている。
中国への「へつらい」があるからだ。中国のご機嫌を損じないように、「日本批判」して習近平氏へおもねた行動である。
韓国という国は、ここまで「乞食根性」に成り下がったのだろうか。
(3)「文在寅大統領が3日、シンガポールのニュース専門英語放送『チャンネルニュースアジア』(CNA)とのインタビューで、『北朝鮮の核とミサイル挑発に対応するための韓米日3カ国協力が、軍事同盟レベルに発展することは望ましくない』と話した。
さらに、『韓米同盟が何よりも重要だ』と述べながらも『中国との関係を確固たるものにするバランス外交をするつもりだ』とし、中国に積極的な関係改善のシグナルを送った。
ただ、『今、北朝鮮の核とミサイル挑発に対応して韓国と米国だけでなく、日本との協力も大変重要になった』とし、『しかし、それが3ヶ国の軍事同盟レベルに発展することは望ましくない』と述べた。
そして『日本が北朝鮮の核を理由に軍事大国化の道を歩んでいくなら、それもアセアン諸国との関係では望ましいことではないと考える』と付け加えた」
このパラグラフで注目すべきは、日本が北の脅威を理由にして軍事大国化するから、韓国は日米韓三カ国の軍事同盟に加わらないという点だ。
これは極めて矛盾したことを言っている。
北は、核武装し始めている。これは非核国家としては脅威のはず。
日本が北を脅威と受け止めるのは当然であろう。文政権は脅威に感じないのか。
逆に、北の核をテコにして南北統一を図る積もりなのか。
その際、日本が日米韓の軍事同盟に加わっていると、北朝鮮と戦闘状態に入って面倒なことになる。
そういう計算までしているのだろうか。不思議である。
文氏は、戦時中の日本でソ連スパイを働いた朝日新聞記者の尾崎秀実と同じような立場に身を置いているのだろうか。
韓国はすでに、中国側へなびいている。日本が北の脅威に対抗すべく軍備の水準を高めることが、中国は脅威になるという理屈であろうか。
仮に、純粋に日米韓三カ国が北へ対抗するという同盟精神に燃えているならば、韓国が日本の装備強化に文句をつける立場でなく、歓迎すべき話だ。
それが逆の評価になったのは、韓国が精神的に中国陣営へ走っている証拠だ。
ASEAN(東南アジア諸国連合)は、日本への信頼感が抜群である。
日本外務省は11月3日、ASEAN10カ国で行った対日世論調査の結果を発表した。
日本を「とても信頼できる」「どちらかというと信頼できる」と回答した人は91%に達し、平成27年12月に実施した前回調査の73%から18ポイント増加したのだ。
ASEANは、中国の海洋進出に脅威を感じており、南シナ海への日本介入を要望し始めている。
この状態を見れば、「日本の軍拡がASEANの脅威」は真っ赤な嘘である。
文在寅大統領は、中国から吹き込まれた嘘をそのまま喋っているだけ。
こう見ると、文氏がますます中国の代弁者のなってきた感が強い。
彼は、習近平氏の代理人であろう。
(4)「文大統領は、北朝鮮の6回目の核実験に対応して9月の国連安全保障理事会が対北朝鮮制裁決議2375号を採択したことに言及し、
『その相当部分は中国が履行しなければならない部分であるが、中国は誠実に履行する努力をしている。
それが北朝鮮核問題の解決に大きな助けになっている』とし、『韓国と中国は緊密に協力し、北朝鮮が対話の場に出てくることができるよう、共に努力していくだろう』と話した。北朝鮮核の解決に向けた中国の役割も持ち上げたもの」
文氏は、政治家に不向きなお人好しである。
中国からTHAAD問題で、あれだけ理不尽な報復を受けてきた。
それが「報復中止」でころりと代わり、中国への態度を変え絶賛している。
恥ずかしいと思わないのだろうか。こういう人物は信用ならないタイプだ。
最近、文氏は日本へ接近していたが、手のひらを代えて日本批判だ。この急変は、文氏の性格なのか。韓国人の性癖なのか。多分、両方であろう。
(5)「文大統領のこのような発言は、韓米、韓中首脳会談を控え、韓米日安保協力を強調する米国をさりげなくけん制しながら、中国に向けては積極的な関係改善の意思を表したものとみられる。
大統領府関係者は『韓中関係が進展しつつある時点で、中国には役割を強調し、北朝鮮の核問題の解決に誠実な態度を見せてほしいと圧迫する意味があり、
米国には韓米日安保協力が軍事同盟レベルまで達することには反対するというメッセージを送った』と話した」
韓国が、北の核問題について米中の間に立ち、「外交バランサー役」になろうとするのは大間違いである。
率直に言って、韓国にそのような実力はない。
日米韓三カ国の一員として協調して行動することが最高の防衛策だ。
この三カ国の和を乱し、独自行動(北へ接近)することは危険である。
韓国は、当事者能力を欠いているにもかかわらず、あたかも主役のごとく振る舞うと、米国から強い忌避感を持たれるはずだ。
米国によって防衛されている国が、米国を飛び越えて行動することは慎むべきであろう。それが、外交の常識というものだ。
『中央日報』(11月4日付)は、「トランプ大統領の後ろにちらつく安倍首相の影」と題するコラムを掲載した。筆者は、ソン・ヨル/延世大国際学大学院教授である。
このコラムは、文大統領の「狭量」さを批判している。
慰安婦という過去の問題に足を引っ張られて、今後の安保政策という重大問題で日本と疎遠になる危険性を指摘している。
安倍首相が、トランプ大統領のアジア政策に影響力を持っている現実を直視すれば、韓国が日本と慰安婦問題でぎくしゃくすることのデメリットを考えろ。こう言い放っているのだ。
(6)「安倍政権の歴史修正主義、特に旧日本軍慰安婦問題の解決をめぐる対立で韓日関係は国交正常化以来最悪の状態に転落した。
2015年12月28日の韓日慰安婦合意にもかかわらず論争は続いて関係回復が難しい。
朴槿恵(パク・クネ)政権の失敗は、慰安婦問題解決法を首脳会談の前提条件として韓日関係全般と連係することで関係の悪化を招き、これによる過重な外交的負担に耐えられず結局は合意のための政治的な妥協に向かうしかなかったところにある。
したがって、対日政策の出発点は文在寅(ムン・ジェイン)大統領が明らかにした2トラック外交、すなわち対北朝鮮連携、安保協力、経済協力、社会・文化交流などを歴史問題と分離し、それぞれの領域の論理に合わせて対応していくことだ」
朴槿恵政権における対日政策の失敗は、慰安婦問題にこだわりすぎたことだ。
韓国は正義の徒、日本は不義の輩という位置づけで日本との話し合いを拒否、土壇場で急遽妥協したがまた、韓国で問題を起こしている。
筆者は、こういう過去の韓国外交の失敗を指摘している。
韓国は対北朝鮮連携、安保協力、経済協力、社会・文化交流など現実問題において、日本と協力すべきである。
歴史問題を棚上げせよと言っている。だが、冒頭に取り上げたように、文大統領は「日本は同盟でない」と大見得を切った。
依然として、慰安婦問題が現実政策の進展をふさいでいる。
その点で、朴槿恵氏も文在寅氏も同じ誤りに落ち込んでいる。
韓国が日本への嫌がらせで、中国へ接近しても日本は驚かないのだ。
「どうぞ、事大主義を楽しみ中国の餌食になってください」と言うしかない。
(7)「トランプ大統領の歴訪を迎え、韓国政府は韓日米協力の枠組みの中で北核阻止と韓半島平和に役に立つなら、日本と堂々と軍事協力をしていかなければいけない。
対北朝鮮軍事情報の共有、抑止力の強化、拡張抑止の信頼性向上、ミサイル防衛などでの積極的な協力を先に延ばす理由はない。
日本が戦争可能な国になったとか、
軍国主義化に向かう改憲が実現するという反日情緒を刺激する論理に揺れて協力をためらえば、
結局、韓日米の連携で後まわしにされ、日米が望む地域同盟的な試みを効果的に制御するのも難しくなるだろう。
トランプ大統領の後ろに安倍首相の影がちらついている。
世論に流されず、協力することは協力し、要求することは要求する時、安倍首相は韓国を見直すだろう。これが文在寅政権の望む国民に堂々とした外交だ」
韓国は、日本に対してもっと大人の対応をすべきである、と指摘している。
日本が戦争可能な国になったとか、軍国主義化に向かう改憲が実現するとか言って、日本との協力をためらえば、韓国の国益が損なわれる。
日米韓三カ国の協力で、北朝鮮の核がもたらす危機への対応が遅れることが危険である。
筆者はこう指摘している。
文在寅大統領に直々に聞かせてあげたいような話である。
韓国5000万人の安全保障問題で、慰安婦問題や軍備強化を理由にした「日本排除」の論理が、韓国自滅の論理に繋がるのだ。
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(2017年11月9日)
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