【第630回・特別版】韓国反政権デモを報じない日本マスコミ
西岡力 / 2019.10.28 (月)
日本のマスコミの韓国報道はおかしい。
10月25日午後から26日午前まで、文在寅大統領の退陣を求める20万人のデモがソウル中心部で夜を徹して行われた。
ところが、私の見た限り、それを日本のマスコミはどこも報じなかった。
これでは、いま韓国で起きていることの本質を正しく伝えることができない。
●徹夜で20万人が集会
この集会を主催した全光焄(チョン・ガンフン)牧師らが率いる「文在寅下野汎国民闘争本部」は、10月3日と9日に連続して50万人以上をソウル中心部に集め、曺国法相(当時)の逮捕を要求した。
同法相が辞任せざるを得ない状況をつくったのが、この2回の大規模デモだった。
全国から50万を超える怒れる国民が自発的に集まったことの歴史的意味を理解していたならば、同じ主催者が予告していた今回の徹夜デモがどのような様相になるかは重大な関心事であるはずだ。
デモは当初、光化門広場の半分程度の参加者で、年長者が主流だったが、中年女性が多かったのが印象的だった。
保守派運動家が次々にマイクを握り、若者の歌やダンスの公演もあった。
何人かの高校生の母親は、ソウルの仁憲高校生が反日スローガンを叫ぶことを強要されたのを「思想独裁」だとして告発した件に触れて、
「うちの子の学校でも同じような反日強要教育がなされている」
「生徒たちを偏向教育から守るのは私たち母親たちだ」と訴えた。
夜7時から、国民大集会が始まった。
仕事を終えたサラリーマンらが続々と集まり、光化門ロータリーまでは車道全部、そこからソウル市庁までは車道半分がデモで埋まった。
多くの弁士が「曺国氏の辞任は始まりに過ぎない」
「文大統領は退陣せよ」と熱弁を振るった。
第1野党、自由韓国党の黃教安代表は翌朝までアスファルトの上に座り続けた。
●始まった「国民革命」
午後11時が過ぎ、国民大集会が終わり、そのままキリスト教の徹夜祈祷会になった。
自由韓国党の金鎭台議員はこう感嘆した。
「文政権はキリスト教徒の扱いを間違えた。
キリスト教徒が立ち上がった。完全に徹夜したのに、勢いが全く衰えない。
国民大集会が徹夜祈祷会に転換してからが本番だった。明け方5時まで席を立つ人はほとんどいなかった。
説教、賛美歌、祈祷を1セットとして繰り返すのだが、全く飽きてこず、やればやるほど力が湧いてくる。
政党や社会団体の主催とは違う。これは宗教の力だ。文政権は大変だ」
金議員は朴槿恵前大統領の弾劾に反対する太極旗デモに最初から参加していた運動家だが、25日のデモには度肝を抜かれたようだ。
しかし、文在寅政権は権力を握っている。
韓国の反共自由民主主義を守る「国民革命」は始まったばかりだ。
日本の未来にも直結する戦いを、日本はもっと関心を持って見つめなければならない。(了)
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