米、GSOMIA維持へ韓国に圧力 文氏、日本に対応要求
【ソウル=恩地洋介】
エスパー米国防長官は15日、ソウルで鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相と会談し、23日午前0時に失効する日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の延長を検討するように促した。米国は政府高官の相次ぐ訪韓で韓国への圧力を強める。
一方、エスパー氏と会談した文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、日本が輸出管理の厳格化を撤回しない限り延長は難しいとの認識を示した。
GSOMIAは失効期日まで1週間を切ったが、破棄されるのか、文政権が延長方針に転じるのかは見通せていない。
米国は韓国に在韓米軍駐留経費の負担増も絡ませて再考を迫る。東アジアの安保秩序が揺らぐ恐れが否めないからだ。
エスパー氏は15日午前に開いた米韓の安保協議会後の記者会見で「協定は戦時に日米韓が効果的に情報を共有するために重要だ。
失効して日韓対立が続けば、得をするのは中国と北朝鮮だ」と強調した。
その後、エスパー氏は文大統領と約50分会談した。
韓国側の説明によると、文氏は日米韓の安保協力は重要だと述べる一方で「安全保障上、信頼できないという理由で輸出規制をした日本と軍事情報を共有するのは難しい」と語った。
エスパー氏は「円満に解決できるよう日本にも努力を要請する」と応じたという。
大統領府関係者は記者団に「協定の失効まで何日か残っている。完全に協定が終了したと見るのは正しくない」と語った。
11月に入り、米国は目に見える形で文政権への圧力を強めた。
6日にはスティルウェル国務次官補や経済担当のクラーク国務次官が訪韓し、韓国政府高官に破棄判断の見直しや、中国に対抗するための同盟強化を相次ぎ求めた。
米軍もGSOMIAの失効が日米韓の安保連携を損なう可能性を再三にわたり警告する。
エイブラムス在韓米軍司令官は12日の記者会見で「我々が強くないというメッセージを相手に送る可能性がある」と指摘した。
韓国は8月、米国の制止を振り切ってGSOMIA破棄を一方的に決めた。
外交筋は米国の同盟国への異例の圧力について、一連の経緯を踏まえた文政権への根強い不信の蓄積があると指摘する。
米国はGSOMIA問題と並行し、トランプ大統領が求める在韓米軍駐留費の韓国負担増でも交渉を急ぐ。
国防相会談の主要な議題となり、エスパー氏は会見で「韓国は富裕国で余裕があり、もう少し負担しなければならない」と指摘した。
米国は2019年に韓国が負担した額の5倍近い47億ドル(約5100億円)を要求しているとされる。
韓国メディアによると、来週には交渉を担う米国務省のディハート首席代表が訪韓する。
文政権には「協定が失効すれば韓国は高い代償を払うことになる」との脅しにも映る。
日米韓3カ国は23日午前0時の期限ぎりぎりまでGSOMIA失効の回避を探る。
15日は日米韓の制服組トップによるテレビ会議を開き、安保連携の重要性を確認した。17日にはバンコクで開く東南アジア諸国連合(ASEAN)の拡大国防相会議に合わせ、日韓と日米韓の枠組みで防衛相会談が開かれる。
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