日本と世界

世界の中の日本

中国、「真相判明」尖閣沖の原潜は日本の追尾で強制的に浮上!

2018-02-06 14:02:35 | 日記
勝又壽良の経済時評

日々、内外のニュースに接していると、いろいろの感想や疑問が湧きます。それらについて、私なりの答えを探すべく、このブログを開きます。私は経済記者を30年、大学教授を16年勤めました。第一線記者と研究者の経験を生かし、内外の経済情報を立体的に分析します。


2018-02-06 05:00:00

中国、「真相判明」尖閣沖の原潜は日本の追尾で強制的に浮上!


原潜2日間の追尾に降参

精密工業技術では後進国



1月10日から11日にかけて、外国の潜水艦が水面に浮上せず、沖縄県宮古島近海と尖閣諸島の接続水域を謎の航行をしていた。

海上自衛隊は12日午後になって、尖閣諸島北西の東シナ海の公海で、浮上して中国国旗を掲げる潜水艦を確認した。

この一件、中国海軍の故意か失態かで話題を呼んでいる。実際は、海上自衛隊の追尾に音を上げて浮上し、中国国旗を掲げたものと判明した。中国原潜の完敗である。


かねてから、中国潜水艦の最大弱点としてスクリューの高い騒音性が指摘されてきた。

潜水艦は、敵艦に発見されぬよう、静謐性の維持が生命線とされている。

ところが、中国潜水艦の騒音が大きく、日本の世界一とされる対潜探索能力に簡単に捕捉されてきた。

今回もまた、同じ運命に陥って、海上自衛隊による2日間の執拗な追尾により浮上を余儀なくされたのだ。


中国は、世界覇権を握ると豪語しているが、工業水準の低さはいかんともし難い。

今回も、海上自衛隊の前に脱帽した。今後の戦争では、潜水艦能力が雌雄を決すると言われる。

敵陣深く潜入する潜水艦が、標的を的確に攻撃し打撃を与えるには、静謐性の高い能力の保持が最も要求されている。

中国潜水艦は、その点で著しく劣っている。自らの発する騒音で、潜水位置を相手側に「告知」するに等しい欠陥を抱えている。これでは、潜水艦の役割を果たせないのだ。


原潜2日間の追尾に降参

『中央日報』(1月29日付)は、「中国の原子力潜水艦、激しい騒音で日本海上自衛隊に探知される」と題する記事を掲載した。


隠密行動を身上とする潜水艦は原潜の場合、基地を出たら戻るまで浮上しないはずである。

その原潜が浮上したうえに、中国の国旗を掲げたのだ。これは、軍事専門家に言わせれば、驚きの行動であるという。

「中国原潜が宮古島に接近した時点で、海・空自衛隊に探知された。

すぐに、浮上を命じる自衛隊のアクティブソナーの警告音の中を中国軍艦の待機する尖閣諸島沖まで逃走し、ついに浮上した。実戦だったら撃沈されていた」(『毎日新聞』1月29日付)というから、事態は深刻である。

日清戦争(1894~95年)で、逃げ惑う清国海軍を見るような光景であったのだろう。

清国海軍は当時、英国から輸入した最新鋭艦4隻を揃えて日本海軍の艦船に対峙した。

だが、日本海軍の猛攻にたじろぎ、清国海軍は勝手に戦場を離脱し逃走する艦船まで現れた。昔も今も変わらない光景に驚く。

中国海軍の士気は、決して高くはないのだろう。口では立派なことを言うが、現実は逆であって臆病なのだろうか。


(1)「香港『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』紙(1月29日付)は、中国原子力潜水艦は激しい騒音で、日本の海上自衛隊に探知されて2日間追尾される侮辱を受けたと報じた。

同紙は、『093A型』と呼ばれる中国の110メートル『商級』原子力潜水艦が、1月10日に日本と中国の領有権紛争地域である尖閣諸島(中国名・釣魚島)沖の海域に進入したが、
日本の海上自衛隊に探知されて2日間にわたり追跡されたあげく、12日には公海で中国国旗である五星紅旗を帆柱に立てたまま水面上に浮上したと伝えた」


中国潜水艦は原潜である以上、本来は浮上する必要はなく、潜航したままで良かったはずである。

だが、海上自衛隊に探知されて2日間にわたり追跡されたあげく、浮上を命じる自衛艦のアクティブソナーの警告音に驚き浮上したに違いない。

もし、警告音を無視した結果、日本側の攻撃を受けて撃沈されたら一巻の終わりである。

日清戦争時の悪夢を思い出して、艦長が浮上を決意したに違いない。中国海軍は潜在的に、「日本海軍」が怖い存在なのだ。


(2)「当時、国旗を立てたまま浮上したのは尖閣諸島に対する領有権を主張するためだったという見解もあるが、一部の専門家は激しい騒音の中国原子力潜水艦が日本の艦艇と軍用機の追尾に遭って公海にやむなく浮上したものだと主張している。

今回探知された潜水艦『093A型』は騒音が大きすぎた『漢級』原子力潜水艦『091型』の短所を克服するべく中国海軍が建造した潜水艦だという。

対艦クルーズミサイルを装着した『093A型』は米国ロサンゼルス級原子力潜水艦に匹敵し、『091型』に比べ静音性が飛躍的に向上したとみられていたが、今回のことでその限界を内外にさらしてしまった」

中国側の説明では、公海であるから中国国旗を掲げたとしている。専門家の見方は違うのだ。

日本の艦艇と軍用機の追尾に遭って公海でやむなく浮上したものと見ている。日本側からの浮上を命じるアクティブソナーの警告音が出されていたからだ。

習近平氏は常々、「勝てる軍隊になれ」と訓示している。

中国首脳部自身が、中国の戦力は先進国に比べて見劣りすることを自覚しているのだろう。「勝てる軍隊」とは妙な話である。軍備だけは揃えても、兵士の士気や練度が低いに違いない。「張り子の虎」なのだ。


『大紀元』(1月17日付)は、「中国最新原潜、日本公海で浮上・国旗揚げ、中国ネットユーザー『みっともない』」と題する記事を掲載した。

この記事では、事態の推移を正確に把握していることにビックリするほどだ。

中国の国民は自国海軍の不甲斐なさを先刻、承知しているからだ。「岡目八目」というが、なかなかの慧眼と言うほかない。

こういう冷静で客観的な見方があれば、中国軍が安易に侵略行動に出まいと期待できる。

だが、専制国家の軍隊の恐ろしさは、自己過信である。日本もかつて太平洋戦争に打って出た背景には、この「過信」が災いした。

その意味で、今回の「強制浮上」のやむなきに至った点について、中国海軍は拳々服膺(けんけんふくよう)すべき事例である。

(3)「中国海軍の最新攻撃型原子力潜水艦がこのほど、日本の接続水域に進入し、その後日本沖縄県付近の東シナ海の公海で浮上して国旗を掲げた。

軍事的に、潜水艦のステルス性が非常に重要視されているため、中国国内では潜水艦の公海での浮上・国旗掲げの理由をめぐって、推測が飛び交った。

海外中国語メディアは、『商級』原潜の浮上・国旗掲げは、日本に対して主権を主張しようとした狙いがあるほか、日本海上自衛隊の対潜作戦でやむを得ず浮上し、身元を明かしたのではないかと分析した。

日本の琉球諸島は、米軍のアジア太平洋地域における第1列島線に位置し日米の軍事重要拠点で、両軍の対潜戦力が非常に強いという」

潜水艦は、海中を潜航するのが使命である。ステルス性が最大に問われているからだ。

それがどうだろう。日本の空自・海自が監視している前で浮上して、船体の一部を見せてしまったのだ。

日本の潜水艦であれば、こういう無様なことをせずに逃げ切るであろう。中国潜水艦の艦長や乗組員には、決死の覚悟という決意が欠如しているのだ。

士気が低いと言わざるを得まい。


中国が勝手に設定している「第1列島線」は、九州を起点に、沖縄、台湾、フィリピン、ボルネオ島にいたるラインを指している。

ここを防御ラインにしており、この内側を中国海軍の活動範囲と定めている。

日米は、こういう勝手な防衛ラインを認めるはずもなく、中国の進出を食い止めるべく潜水艦による防御を固めている。

そこへ、やたらとスクリュー音の高い中国潜水艦が現れたのだ。日米海軍は、連携プレーで中国潜水艦を追尾する体制を構築している。

これに、まんまと引っかかってきたのである。「飛んで火に入る夏の虫」だ、


(4)「中国国内の一部のネットユーザーからは、最先端の原潜が日本海上自衛隊に浮上させられたことに、中国海軍の軍事力に疑問の声があがった。

パンツまで見られた状態だ。これって本当に最新の原潜なのか?」

① 「(日本に)2日間も追跡された潜水艦だから、音紋はもう完全に把握されたに違いない。

② 「潜水艦が公海で潜没し航行する時、浮上や国旗掲げは必要ない。他の国の領海を通過する際、浮上して国旗を掲げなければならない。日本の主張を認めたことに等しいではないか?」

③ 「潜水艦の出発、接続水域への入域、公海での浮上までの全過程が隣国に知られている  ことが最大の問題だ」

④ 「追跡されて、最後に浮上。白旗を上げて降伏を認めたのではないか」

⑤ 「日本の対潜力は世界一と言われている。対潜作戦で、潜水艦が浮上して国旗を掲げることは相手に、こっちは攻撃性がないことを告げている。つまり、相手の艦隊による強制送還を認めたわけだ」


上記の読者による感想を読むと、当該の潜水艦艦長よりもはるかに状況を客観的に把握しているように思える。

2日間も日本側に追尾されているなかで、中国潜水艦の能力は全て日本側に把握されたに違いない。

つまり、日本側に丸裸にされたのも同然の措置を受けていることだ。いくら、平時のこととは言え余りにも緊張感の乏しい行動と言うほかない。


今回の一件は、中国潜水艦が基地を離れた時から、米軍の監視下でその行動の全てが把握されていたことだ。

隠密を旨とする潜水艦の行動が、完全に米軍の手中に握られていたこと自体、漫画的ですらある。

「第一列島線」とかいう仰々しい防御ラインを敷いていても、いとも簡単に米軍の監視下に組み込まれている現実を見ると、多くの疑問点が沸いてくる。

つまり、中国海軍は軍備だけはやたらと増やしても、その運用能力は極めて初歩的な段階に止まっている点だ。

これでは、習近平氏が「勝てる軍隊になれ」と訓示するはずである。


中国海軍は、大きな課題を残した。


第一は、騒音の高い潜水艦しか製造できない技術的な未熟さ。

第二は、潜水艦の行動が出航時点から米軍の監視下にあるという情報戦の弱点である。


前記の二点は、同一の原因に基づくのであろう。軍事技術的にレベルが低いという点だ。

これは、中国製造業の能力が低い点とも深く関わっている。

例えば、中国の高速鉄道は日本とドイツの技術をベースにして開発したもの。

中国では、「独自技術」と自慢しているが、高速列車の基幹部品は日独からの輸入に仰がざるを得ないのが現状だ。


精密工業技術で後進国

『サーチナー』(1月29日付)は、「中国人は高速鉄道を誇りに思っているけど輸入した基幹部品を組み立てが実態」と題する記事を掲載した。


中国の高速鉄道(新幹線)に対する「自慢」は、常識の域を超えている。日本の新幹線よりも速度が速い。
建設費も安いなどと自画自賛している。

これは、中国の地理的条件が日本よりも良く、平坦地が多いこと。土地は国有制度ゆえに強制的に取り上げ可能である。

日本に比べて人件費が安いからトータル・コストも安くて済む。こういう、中国特有の事情を持出して、その優位性を自慢するという児戯に等しい振る舞いをしている。


中国人のこういう度外れた自慢は、魯迅の『阿Q正伝』を彷彿とさせるのだ。客観的な見方ができず、すぐに法螺を吹いて歩く自己中心主義は、紛れもなく現代の中国人そのものである。2050年の世界覇権論は、「習阿Q」であるかもしれない。


(5)「多くの中国人にとって高速鉄道は『中国の製造業を代表する名刺的存在』であり、誇りに感じる製品の代表格らしいが、中国は高速鉄道に関わるすべての技術を掌握できているのだろうか。

中国メディアの『今日頭条』はこのほど、高速鉄道は『すべての中国人に誇りを感じさせる存在』であると主張する一方、中国は高速鉄道の基幹部品は今なお輸入に依存しているのが現状であると指摘している」

高速列車の主要部品が、日独製であることはこれまでも指摘されてきた。とりわけ日本製が幅を利かしている。その具体的な品目は、次のパラグラフで取り上げられている。


(6)「記事は、中国高速鉄道の近年における飛躍的な発展は世界が認めるところだと指摘し、数年にわたる研究開発の結果、中国は確かに高速鉄道の量産能力を手にしたと指摘する一方、『中国は国外から輸入された基幹部品の組み立てを行っているのが現状』と主張。

たとえば、制動に関する技術については国外メーカーが掌握しており、中国には技術移転はおろか、簡単な情報すら開示されていないと指摘。

また、ボギー台車の技術についても、中国は設計原理や改善の仕方については良く分かっていないのが現状であると論じた」


時速160km以上の高速列車に使用されているベアリングは、いまだ100%輸入品に頼っている。

ベアリングを提供しているのは、スウェーデンのSKF、ドイツのFAG、日本精工などの国際大手とされている。

高級ベアリングは、中国では製造が不可能である。

超微細なベアリングを使うボールペンの国産化が、2年ほど前にようやく可能になった程度だ。精密工業でお手上げの国である。

現に、自動車のガソリンエンジンも日本製に頼っている。

緩まないネジやナットも日本の独壇場である。高速列車に使われるネジやナットは、振動で緩んで当たり前である。

だが、日本製のネジは緩まないという。ネジが緩んで脱落すれば大事故に繋がる。日本製ネジが不可欠な理由である。


記事では、ブレーキやボギー台車が全て輸入品に依存している。もともと高速列車の技術がなかったのだから、高速列車を動かす部品が存在するはずもない。

現代の「阿Q」はそんなことにはお構いなく、「出来た、出来た」と大はしゃぎして、全て中国の実績にしてしまう。考えれば考えるほど、中国全土が「阿Q」に満ちあふれた国である。



(2018年2月6日)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿