洪中将の御子息洪国善氏は,大変興味深い思い出を話された。それは氏の少年時代,洪中将が大尉だったころのことである。当時の日本における韓国人への差別・蔑視はいわば「あたりまえの状態」であり,帝国陸軍の大尉に向って直接こういう態度をとる者はいないとはいえ,家族は例外ではない。従って少年の国善氏にとって「チョーセン,チョーセン」と理由なき蔑視と嘲弄をうける日々はまことに苦しいものであり,ある日ついにたまりかねて
「なぜ自分たちはこういう扱いを受けるのか,これはどうにかならないものか」
と父に訴えた。当時の洪大尉はこれに答えて次のように言ったという。
「これは大変に困った問題,むずかしい問題,また早急に解決できるとは思えぬ問題である。自分はこのことについて大分調べたが,アイルランド人とイギリス人の間に,非常によく似た問題がある。それゆえアイルランド人の行き方がわれわれの参考になるであろう。アイルランド人はイギリスで,どのような扱いをうけても,決してアイルランド人であることを隠さない。そして名乗るときは必ずはっきりと「私はアイルランド人のだれだれです」と言う。おまえもこの通りにして,どんなときでも必ず「私は朝鮮人の洪国善です」とはっきり言い,決してこの「朝鮮人の」を略してはいけない」
と。
「なぜ自分たちはこういう扱いを受けるのか,これはどうにかならないものか」
と父に訴えた。当時の洪大尉はこれに答えて次のように言ったという。
「これは大変に困った問題,むずかしい問題,また早急に解決できるとは思えぬ問題である。自分はこのことについて大分調べたが,アイルランド人とイギリス人の間に,非常によく似た問題がある。それゆえアイルランド人の行き方がわれわれの参考になるであろう。アイルランド人はイギリスで,どのような扱いをうけても,決してアイルランド人であることを隠さない。そして名乗るときは必ずはっきりと「私はアイルランド人のだれだれです」と言う。おまえもこの通りにして,どんなときでも必ず「私は朝鮮人の洪国善です」とはっきり言い,決してこの「朝鮮人の」を略してはいけない」
と。
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