WHOが「致死率90%の殺人ウイルス」を
ガーナで確認 感染力の強いマールブルグ病とは?
2018年、ウガンダで流行が起きた際、国立公園のコウモリからの感染を調査する疫学者たちPhoto by Bonnie Jo Mount/The Washington Post
新型コロナのパンデミック、サル痘患者の増加に続き、
また別のウイルスのニュースが世界に緊張を走らせるかもしれない。
西アフリカのガーナで感染力の強いマールブルグウイルスが確認されたのだ。
世界保健機関(WHO)が7月17日に発表したところによれば、
ガーナ南部のアシャンティ地方でマールブルグウイルスに感染した2人が死亡した。
2人が接触した経緯はないという。ガーナの保健当局は濃厚接触者の隔離に努めており、
WHOは専門家の派遣などに着手している。
「保健当局は迅速に対応し、アウトブレイクが予想される事態にいち早く備えています。
迅速かつ断固とした対応なくしては、マールブルグは簡単に手に負えなくなりますので」
と、WHOのアフリカ地域事務局長マトシディソ・モエティは述べている。
マールブルグ病はエボラ出血熱に似た感染力の強いウイルスによって引き起こされ、
有効なワクチンも治療法もない。その致死率は90%近くに達することもある。
この恐ろしいウイルスについてわかっていることは以下のとおりだ。
マールブルグウイルスとは?
マールブルグは稀ではあるが感染力の強いウイルス性出血熱であり、
西アフリカを長年苦しめてきたエボラと同じ系統のものである。
WHOによると、致死率は24~88%で、ウイルス株やその症例が
どのように管理されるかによって異なる。 マールブルグは、
アフリカオオコウモリからヒトに感染しているとみられる。
コウモリが数多く生息する鉱山や洞窟で働く人々が、
長きにわたってそのような環境にさらされた結果だとされる。
空気感染はしないが、血液、唾液、尿など感染者の体液に
直接触れることで、ヒトとヒトとの間で容易に広がる。
感染者の遺体を埋葬する際にも感染力が残っている可能性がある。
マールブルグ病の症状は?
WHOによると、この病気は「突然」、高熱や激しい頭痛、倦怠感で始まる。
筋肉痛やけいれん性の痛みも一般的な症状だ。 ガーナで死亡した2人は、
下痢、発熱、吐き気、嘔吐などの症状を呈していた。
1人は26歳の男性で、6月26日に病院に入院し、翌日に亡くなった。
もう一人は51歳の男性で、6月28日に入院し、同日に死亡したと発表されている。
致死的なケースでは通常、発症後8~9日の間に死亡し、
その前に重度の出血や多臓器不全が見られるという。