安倍元首相「国葬」が前代未聞の弔問外交に
プーチン氏やバイデン氏、トランプ氏も参列!?
「ロシアとウクライナの停戦、きっかけ担える可能性」
参院選の街頭演説中に凶弾に倒れた安倍晋三元首相の政府主導による葬儀について、
岸田文雄首相は秋に日本武道館で「国葬」(国葬儀)として実施すると明らかにした。
国葬は各国から特使が送られることで外交の舞台にもなる。
専門家は「海外での影響力が非常に強い安倍氏の国葬は、
過去最大級の弔問外交の舞台となる可能性もある」と語る。
【「国葬」の実際の写真】吉田茂元首相の国葬で、祭壇に献花される皇太子ご夫妻
首相経験者の国葬は1967年の吉田茂元首相以来2回目。
吉田氏の国葬を手掛けた帝都典礼のホームページによると、
日本武道館で実施され、推定3万5000人が参列した。
費用は当時の金額で約1800万円だが、
2020年の中曽根康弘元首相の内閣・自民党の
合同葬では約2億円の費用が計上された。
安倍氏の国葬も同程度の費用が予想される。
海外でも首脳経験者が国葬で見送られるケースは多い。
米国では辞退したニクソン元大統領らを除き、
大統領経験者には基本的に国葬が実施される。
英国の国葬は王室関係者が対象だが、チャーチル元首相ら
特段の功労者には例外的に執り行われてきた。
国葬には諸外国から要人が弔問に訪れる。今年5月には、
亡くなったアラブ首長国連邦(UAE)のハリファ前大統領に弔意を示すため、
ジョンソン英首相やフランスのマクロン大統領、ハリス米副大統領らが駆けつけた。
長期にわたり外交分野で存在感を見せてきた安倍氏には、
すでに世界中の要人から弔問を希望する連絡が寄せられ外務省が対応に追われている。
世界中から要人が集結すれば、日本は大規模な弔問外交の舞台になる。
国際政治に詳しい福井県立大学の島田洋一氏は
「岸田首相はG7(先進7カ国)首脳会議に続き、
NATO(北大西洋条約機構)首脳会議にも参加した。
自由主義圏という輪のもとで欧米諸国と
アジア諸国が軍事的にも連携を強めており、
その舞台が日本での弔問外交となるという見方もできる」と解説する。
ウクライナへの侵攻を続けるロシアのプーチン大統領も安倍氏との親交が知られる。
プーチン氏は安倍氏が死去した8日のうちに弔電を送っている。
島田氏は「一部では安倍氏の国葬を機にロシアとウクライナの停戦を
日本が仲介できるという予想もあるが、戦況次第だろう。
両国にとって停戦に移ってもいいタイミングであれば
1つのきっかけを担える可能性はある」とみる。
米国からはバイデン大統領の弔問が予想されるほか、
海外メディアによると安倍氏と関係が深い
トランプ前大統領も葬儀への参列を検討しているという。
島田氏は「安倍氏はオバマ政権、トランプ政権と長期にわたり
首相として関係を持ち、超党派で人脈を築き上げた。
バイデン氏とトランプ氏がそろって弔問する可能性は十分あるが、
両者への待遇に差がつけば関係に亀裂が生じかねない。
難しい判断が求められる」との見方を示した。