【解説】「ケンタウロス」と呼ばれる新たな変異株
「BA.2.75」特徴は…
新型コロナウイルスの国内での感染が再拡大している中、
“ケンタウロス”の異名を持つ新たな変異型が注目されています。
「なぜ“ケンタウロス”?」 「国内で市中感染か」 「第7波のピークは?」
以上の3つのポイントについて、詳しく解説します。
◇ ■自宅療養者 1か月前の約12倍…初めて15万人超え
25日、全国の新規感染者は12万6576人でした。
感染者の報告が比較的少ない傾向にある月曜日としては、過去最多となりました。
また、東京都だけでも新規感染者は18日と比べて約1.8倍の、2万2387人でした。
こちらも月曜日としては過去最多です。
自宅療養者も25日、15万3125人となり、初めて15万人を超えました。
どれぐらい増えているのかというと、
1万2294人だった1か月前の先月25日の約12倍です。
その影響で自宅療養者への食料品配送は、
食料の調達が困難な人に限るという事態にまでなっています。
今回の感染拡大の背景にあるのは、オミクロン株の中でも
別系統の「BA.5」への置き換わりが急速に進んでいることがあります。
東京都では感染者の変異株を調べたところ、
全体の74.5%が「BA.5」疑いとなっています。
■別名「ケンタウロス」 オミクロン株「BA.2.75」とは?
こうした中、21日の都のモニタリング会議では、
新たな変異について発言がありました。
東京iCDC専門家ボード 賀来満夫座長(21日)
「BA.2.75が2例検出されておりますが、
この動向については今後また注視してまいりたい」
聞き慣れない名前ですが、「BA.2.75」への感染が2例確認されたといいます。
「BA.2.75」とは、オミクロン株の「BA.2」系統から変異した75番目の亜種で、
別名「ケンタウロス」とも呼ばれています。
ケンタウロスは、ギリシャ神話に登場する半人半獣の種族です。
過去の変異株と比べて変異した部分が大きいのでそれを象徴する意味合いや、
「BA.2」系統にもかかわらず「BA.5」に似ているところもあり、
“半分半分”といったニュアンスでこのように呼ばれているなど様々な説があります。
「BA.2.75」は先月2日、世界で初めてインドで確認されました。
その後、イギリス、ドイツ、アメリカ、カナダ、オーストラリア、
ニュージーランドから報告がありました。
インドでは「BA.5」の割合が上昇しつつあったのですが、
「ケンタウロス」が初めて検出された6月以降は、
その割合が上昇しているということです。
ただ、この傾向は今のところ、インドで見られるだけで他の国ではありません。
感染力や重症化リスクについても、まだ明らかになっていないです。
感染症学が専門の国際医療福祉大学成田病院・松本哲哉医師によると、
「この1か月間の広がりを見ても、感染力が強いことは間違いない」といい、
さらに「インドでは過去の感染状況からある程度の免疫も見込まれるが、
いまの拡大状況を見ると、『免疫逃避』は確実に起きている」と話していました。
「免疫逃避」とは免疫が働きにくい状況で、ワクチンの効果も含めて、
社会全体である程度の免疫が期待されていても、
それが働きにくいのではないかという見解です。
■「ケンタウロス」国内でも市中感染か
「ケンタウロス」こと「BA.2.75」は、日本ではまだ確認された事例が極めて少ないです。
初めて確認されたのは今月8日、兵庫・神戸市で、
先月24日に新型コロナへの感染が確認された40代女性から検出されました。
ゲノム解析の結果、今月8日に「BA.2.75」だったと判明しました。
症状は軽症だったということで、今月3日に自宅療養を終えています。
渡航歴はありませんでした。
19日には、大阪府で2人が感染していたことが確認されました。
そして、東京では21日、50代と60代の男性2人の感染が確認されたと発表されました。
症状はいずれも軽症でした。渡航歴もなく、市中感染とみられています。
家族などへの感染は、26日時点では確認されていないということです。
■第7波いつまで
「ケンタウロス」増え始めると… どの変異株が主流になるのでしょうか。
松本教授は「まずは『BA.5』に置き換わりほぼ100%になるだろう」といいます。
問題はその後、どうなるかです。「7月中は『BA.5』による感染者の増加が続き、
8月の前半辺りがピークになるのではないか」ということです。
「いま国は行動制限をしていないが、一部では旅行を取りやめるなど
慎重な人も増えてきている。8月前半がピークで、後半には減少するだろう」
と松本教授はみています。しかし、「その時に『ケンタウロス』が増え始めると、
第7波が下がりきらないうちに、また上がっていくかもしれない」と懸念していました。
■重症化・死亡を防ぐワクチン
高齢者「4回目」接種率は17.5% 夏休みに入り行動範囲も広がる中、
さらなる感染拡大が懸念されます。感染拡大を防ぐ1つのカギがワクチンです。
新型コロナは、高齢者や基礎疾患のある人で重症化しやすいというのは周知の通りです。
では、なぜワクチンを打つのか、政府は「感染した場合の重症化や死亡を防ぐため」
と説明しています。 首相官邸のHPに25日公表された情報によると、
高齢者のワクチン接種率は、3回目までは90.2%と9割を超えていますが、
今年5月から始まった4回目の接種率はまだ17.5%と2割にも満たないのが現状です。
◇ ワクチンの接種は各所で行われていますが、手続きにハードルを感じる人もいます。
家族や施設の職員など、周囲の助けもこれから重要になります。
(2022年7月26日放送「news every.」より)
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