④🐭🐭ハダカデバネズミ🐭🐭
「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす」
平家物語の一説だが、
変わりゆく世の中では、
どれだけ勢いのある人も、いつまでもそのままではいられないものである。
🐭🐀ハダカデバネズミ🐀🐭
この散々な名前をつけられたネズミは、その名の通り、
体毛のないピンク色の体に、口から突き出した長い前歯を持っている。
ハダカデバネズミは、昆虫のハチやアリと同じ「真社会性」の群れで生活している。
地中に多くの部屋が通路で繋がれた、アリのような巣を作る。
群れは女王ネズミー匹と、1〜3匹の王ネズミ、
数十〜数百の働きネズミで構成されている。
実権は完全に女王ネズミが握っており、
王ネズミは常に子作りを強要させられるため、やせ細っている。
しかし、アリやハチと違い、ハダカデバネズミの世界では下克上が起きることがある。
女王の地位は決して盤石ではないのだ。
そのため、女王はやられる前にやってやるとばかりに他のハダカデバネズミを攻撃し、
自分の力が勝っていることを見せつける。
他のハダカデバネズミが反乱を起こさぬよう、巣穴を見張り歩くのだ。
トップをひた走るというのは、簡単なことではない。
重要なのは、トップを獲ったときどうするかである。
プレッシャーや恐怖に負けて虚勢を張るのか、
世の中は移り変わるものだと割り切り、初心を忘れずに謙虚な姿勢を保てるのか。
ハダカデバネズミの女王のように、常にまわりを恐れ、攻撃するような人生はきっとつらいだろう。
🍀🍀働かないものの存在意義🍀🍀
仕事を分担し、1匹の女王のみが子供を残す「真社会性」は昆虫ではアリやハチ、シロアリなどいくつかの種類で見られるが、
哺乳類ではハダカデバネズミとデマラランドデバネズミのみだ。
真社会性の群れでは、女王以外のメスは妊娠することができない。
これは、昆虫の場合は、女王が発するフェロモンによって、
デバネズミの場合は、女王の尿に含まれるフェロモンによって、
生殖を抑制されているからだ。
このような決定的な違いはあるものの、真社会性には我々人間社会との多くの共通点もある。
その一つが、群れの中に必ず「働き者」と「怠け者」がいることだ。
例えばアリの場合、よく働くアリと怠け者のアリの割合は、およそ 2:8 だと言われる。
さらに細かく分けると、よく働くアリ、それなりに働くアリ、怠け者のアリの比率は 2:6:2 になる。
人間の目線で考えれば、怠け者は穀潰し。
彼らをリストラして追い出した方が効率が良いように感じるが、
実はそうではない。
すべてのアリが等しく働きすれば、その群れは寿命が短くなる。
全てのアリが同じタイミングで疲労死する可能性もあるのだ。
確実に生き残るものがいなければ、群れの全滅につながるのである。
事実、怠け者のアリだけを集めた場合でも、不思議なことに、その中から働きアリが出現して、結局同じくらいの割合に落ち着く。
これに関して、デマラランドデバネズミを扱った興味深い研究がある。
デマラランドダカデバネスミの中にも、働かないグループがいる。
勤勉のグループが95%の仕事を受け持っているのに対し、怠け者のグループはほとんど働かずに餌を食べているだけ。
そのため、働くグループよりもはるかに太っている。
この働かないデバネズミは、働くデバネズミが疲労したときのスペア(交換要員)ではなく、
他の役割を持っているという仮説がある。
それは「繁殖」だ。
デバネズミは地面を掘って巣を作るが、
彼らにとって雨の時は土がやわらかくなるので、巣を広げる絶好のチャンスである。
このとき、女王と怠け者のグループの代謝量が急激に上がるのだ。
(働き者のグループにはその傾向が見られない)
デバネズミは女王の尿によって生殖が抑制されているが、
女王から離れれば生殖も可能、
つまり、働かないグループは新たな群れを作ることができるのだ。
働かないグループは、そのために存在しているのではないかと考えられているのだ。
ただし、例外もある。
たとえばアリの中には女王を持たず、働きアリが卵を産む種がある。
その中には、「どんなことがあっても働かないアリ」がいる。
この完全にフリーライダーのアリが増加すると群れを維持できなくなるのだ。
自然界の法則に従えば、組織ができれば、怠け者は必然的に生まれてくる。
その存在にどのような意義をつけ、活かすことができるか、人間の知恵が問われる。
🌸🌸ハダカデバネズミの豆知識🌸🌸
・極度にガンになりにくい。
・子供を温める「ふとん係」が存在する。
・外敵のヘビが来ると一匹が自ら犠牲になって、その間に仲間が穴を埋める。
・出っ歯が唇を突き破って生えているので、土を歯で削っても口に土が入らない。
・げっ歯類には珍しく長命で、飼育下では40年近く生きることもある。
(「LIFE 人間が知らない生き方」麻生羽呂、篠原かをりさんより)
「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす」
平家物語の一説だが、
変わりゆく世の中では、
どれだけ勢いのある人も、いつまでもそのままではいられないものである。
🐭🐀ハダカデバネズミ🐀🐭
この散々な名前をつけられたネズミは、その名の通り、
体毛のないピンク色の体に、口から突き出した長い前歯を持っている。
ハダカデバネズミは、昆虫のハチやアリと同じ「真社会性」の群れで生活している。
地中に多くの部屋が通路で繋がれた、アリのような巣を作る。
群れは女王ネズミー匹と、1〜3匹の王ネズミ、
数十〜数百の働きネズミで構成されている。
実権は完全に女王ネズミが握っており、
王ネズミは常に子作りを強要させられるため、やせ細っている。
しかし、アリやハチと違い、ハダカデバネズミの世界では下克上が起きることがある。
女王の地位は決して盤石ではないのだ。
そのため、女王はやられる前にやってやるとばかりに他のハダカデバネズミを攻撃し、
自分の力が勝っていることを見せつける。
他のハダカデバネズミが反乱を起こさぬよう、巣穴を見張り歩くのだ。
トップをひた走るというのは、簡単なことではない。
重要なのは、トップを獲ったときどうするかである。
プレッシャーや恐怖に負けて虚勢を張るのか、
世の中は移り変わるものだと割り切り、初心を忘れずに謙虚な姿勢を保てるのか。
ハダカデバネズミの女王のように、常にまわりを恐れ、攻撃するような人生はきっとつらいだろう。
🍀🍀働かないものの存在意義🍀🍀
仕事を分担し、1匹の女王のみが子供を残す「真社会性」は昆虫ではアリやハチ、シロアリなどいくつかの種類で見られるが、
哺乳類ではハダカデバネズミとデマラランドデバネズミのみだ。
真社会性の群れでは、女王以外のメスは妊娠することができない。
これは、昆虫の場合は、女王が発するフェロモンによって、
デバネズミの場合は、女王の尿に含まれるフェロモンによって、
生殖を抑制されているからだ。
このような決定的な違いはあるものの、真社会性には我々人間社会との多くの共通点もある。
その一つが、群れの中に必ず「働き者」と「怠け者」がいることだ。
例えばアリの場合、よく働くアリと怠け者のアリの割合は、およそ 2:8 だと言われる。
さらに細かく分けると、よく働くアリ、それなりに働くアリ、怠け者のアリの比率は 2:6:2 になる。
人間の目線で考えれば、怠け者は穀潰し。
彼らをリストラして追い出した方が効率が良いように感じるが、
実はそうではない。
すべてのアリが等しく働きすれば、その群れは寿命が短くなる。
全てのアリが同じタイミングで疲労死する可能性もあるのだ。
確実に生き残るものがいなければ、群れの全滅につながるのである。
事実、怠け者のアリだけを集めた場合でも、不思議なことに、その中から働きアリが出現して、結局同じくらいの割合に落ち着く。
これに関して、デマラランドデバネズミを扱った興味深い研究がある。
デマラランドダカデバネスミの中にも、働かないグループがいる。
勤勉のグループが95%の仕事を受け持っているのに対し、怠け者のグループはほとんど働かずに餌を食べているだけ。
そのため、働くグループよりもはるかに太っている。
この働かないデバネズミは、働くデバネズミが疲労したときのスペア(交換要員)ではなく、
他の役割を持っているという仮説がある。
それは「繁殖」だ。
デバネズミは地面を掘って巣を作るが、
彼らにとって雨の時は土がやわらかくなるので、巣を広げる絶好のチャンスである。
このとき、女王と怠け者のグループの代謝量が急激に上がるのだ。
(働き者のグループにはその傾向が見られない)
デバネズミは女王の尿によって生殖が抑制されているが、
女王から離れれば生殖も可能、
つまり、働かないグループは新たな群れを作ることができるのだ。
働かないグループは、そのために存在しているのではないかと考えられているのだ。
ただし、例外もある。
たとえばアリの中には女王を持たず、働きアリが卵を産む種がある。
その中には、「どんなことがあっても働かないアリ」がいる。
この完全にフリーライダーのアリが増加すると群れを維持できなくなるのだ。
自然界の法則に従えば、組織ができれば、怠け者は必然的に生まれてくる。
その存在にどのような意義をつけ、活かすことができるか、人間の知恵が問われる。
🌸🌸ハダカデバネズミの豆知識🌸🌸
・極度にガンになりにくい。
・子供を温める「ふとん係」が存在する。
・外敵のヘビが来ると一匹が自ら犠牲になって、その間に仲間が穴を埋める。
・出っ歯が唇を突き破って生えているので、土を歯で削っても口に土が入らない。
・げっ歯類には珍しく長命で、飼育下では40年近く生きることもある。
(「LIFE 人間が知らない生き方」麻生羽呂、篠原かをりさんより)