先週発売された吉田拓郎のニューアルバム「午前中に…」。だいぶ聞きこんできた。
一番最初の曲が「ガンバラナイけどいいでしょう」。
発売以前に、ニッポン放送のオールナイトニッポンやNHKの番組で拓郎は、「がんばることをやめた。加齢とともにがんばれなくなったから」としきりに発言していた。
「あの吉田拓郎がそれはないでしょう。ミックジャガーだって内田裕也だって頑張っているのだから、あなたにも頑張ってほしい。全国ツアーはもうやらないなんて言わないでほしいよ」という気持ちと、「大病を患ったしね。いつまでも元気で、マイペースで活動してください。別の吉田拓郎を見せてくれれば…」という気持ちが交錯していた。
どちらかという後者が強かった。正直なところそれはちょっと残念でもあった。
そして、アルバム最初の曲が「ガンバラナイけどいいでしょう」。事前のオンエアーで刷り込まれていたせいもあるだろうけど、なんか、本当に枯れてしまったのかなぁ、というのがアルバムを手にしたときの印象。
「ぼくはフキが好きです。タケノコも好きです」って、何よそれって感じで聞いていた。「今回は自分の日常を詩にしてみた」とは言ってたけど…。
自分はまず曲を聞き、歌詞カードは後で見るタイプ。
けれど、聞きこんでいくと、そして歌詞とにらめっこしてみると、自分の勘違いであると思ってきた。
吉田拓郎が枯れているなんてとんでもない。内田裕也や沢田研二になんか負けてはいない。拓郎節は活きているし、社会にメッセージを発信している。
吉田拓郎は進化しているんだきっと。騙されたね、本人の言葉に……。
いま一番気に入っているのは、「何だよそれっ」って思った、「フキの唄」。
『フキの唄』 吉田拓郎
日々の暮らしの中で
ふっと息を吸い込むと
人間は果てしない欲張りで
足りないものがある
そこが我慢出来なくて
何もかも手に入れたいと思っている
僕が子供だった頃
日本は貧しくひ弱で
お金もなく肩寄せあって生きていた
物が足りないのは
みんな一緒だし普通だし
何よりも平和が大切でありました
僕はフキが大好きです
毎日でも食べたくなる
フキは茎だけでなく
葉っぱもとてもおいしくて
僕は竹の子も好きです
毎日飽きることはなく
柔らかいとこだけでなく
かたい根っこのあたりも
大好きです
短い旬の味は
その季節まで待てばいい
人の世は常に満たされなくていい
何かが足りないからと
それが今ここになくても
大丈夫 心が貧しくならなけりゃ
僕はフキが大好きです
毎日でも食べたくなる
フキは茎だけでなく
葉っぱもとてもおいしくて
僕は竹の子も好きです
毎日飽きることはなく
柔らかいとこだけでなく
かたい根っこのあたりも
大好きです
人が生きる道もまた
おいしい事ばかりじゃない
足りなくて満たされぬ日が多くある
何かが足りない時も
その事を受け止めたい
何もかも求めすぎずにおだやかに
最近のオンエアーでの発言にこだわるけど、人生あきらめた、あるいは焦っているように感じる部分がある。そう、まるで余命を言い渡されたような。あくまでも、感覚的にだけど…。しかし、気になって仕方がない。拓郎マジックにまんまとハマっているんだなきっと。
まぁ、そのうち消え去るでしょう。そう、ステージを見たりすれば。
拓郎さん、全国ツアー頑張ってください。
追加公演のチケット、当たってくれ~~~~