久々に映画を見てきました。別の映画を見るつもりだったんですが、ふと気が向いて『アルゴ』。
地味な作りですが面白い!
実話なので結果は分かっているのに最後までハラハラドキドキ、身を硬くして息を詰めて見てしまいましたよ
主人公をもっと英雄らしく作り上げてほしかった、という意見もあるようですが、
アメリカ映画のいかにものこれが英雄!はもうウンザリしてるので、この地味さはむしろ好感が持てました。
宣伝も地味なせいか観客の入りはお世辞にも良いとはいえませんでしたが、良心的な映画だし、面白さから言ってもおススメ!
でもこういう映画をどうこう言うのは難しいですね。
大筋実話でも、細部がどこまで事実なのかが分からないので、
脚本の不備と解して指摘したら「でも事実です」とか。事実だと思って真剣に考えたら「あれは脚色です」とか
登場人部のなかで一番気になったのはカナダ大使の家のイラン人のお手伝いさんです。
ほんとにこういう人がいてこういう行動をとったんでしょうか。
もし事実だとしたらこんな映画を作ったらこの人は殺されてしまうのでは? えっ!?と思ったのはそれです。
他の人は所詮訪問者。安全な国に帰って、よかったよかったと親しい人に迎えられてお終いにできますが、
あの人はあの一言で、それまでの生活も人間関係も故郷も無くしたのでは?
実在の人物だとしたら今どうなさっているんでしょうか。
よくできた映画だけれど、結末のめでたしめでたしで終わってしまうのはそういうところでしょう。
イランが舞台なのにイランの「人間」が描かれていない。
登場人物の誰一人イランと結びついてないように見えます。
イラン人の“人の海”の中の誰彼と彼らの間に交流があれば、イラン人の一人一人が“人間”として見えてくれば、
別の作品になったのでしょうが・・・。
作品の限界なのか、現実の問題なのかがわからないのであまりつっこんでもね・・・。
もうひとつ、どんな狡猾な外交も奇想天外な工作もただ一つの大前提の上に乗っかっているのだな、
ということも感じました。
それは相手にある程度の常識があり、ある程度“正気”だということ。
空港のシーンで、もし相手が本当の狂信者で、連中を止めるためならどんな犠牲を出してもかまわない!という気なら、
この6人のために飛行機の乗員乗客全員が犠牲になる、という筋書きもありえたわけで。
実際にこんなぎりぎりの脱出だったとしたら、という話ですけどね。
映画を見るだびに思いますが、詰め掛ける民衆のパワーとか、派手なアクションとか、
マンガでどう描いても映画の迫力にはぜえんぜん!勝てないですね。
大使館の門が破られて民衆がなだれ込むシーンが、私の絵コンテにあるのと同じアングルで同じ動きで、
コケてる人がいるところまで同じなんですが、あんな怖さは出ませんね、マンガでは(まして私の絵では)
どーすりゃいいのよ、と思いつつ見てました。
さあ描こう
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