姫と太郎の賑やかなお家

姫14歳、太郎9歳。高機能広汎性発達障碍の子供たちとの賑やかな暮らしぶりを綴っていこうと思います。

教育委員会との再面談

2009-11-21 17:25:06 | 太郎のこと
土曜日にもかかわらず、面談のお時間を頂きました。

まず、言われたのは

「知能が高いので特別支援級ではすることがないと思われますが・・・」

でした

「太郎くんの知能の高さもあると思うのですが、現在は保育園でも問題なく過ごせているし、
  2,3年前からすると随分落ち着いたと伺っています。

  彼の知能の高さでは特別支援クラスに行かせることが
  かえって自身の評価を下げることになりませんか?
  『何で僕はこのクラスなんやろう』って彼なら疑問を抱くと思います。

  特別支援級というところは普通の観念ではそういうところです。
  太郎くんが劣等感を抱くことを我々は心配していますが、
  お母さんはそうは思われないのですか?」

ショックのあまり言葉がすぐには出てこなかった。

「特別支援クラスで劣等感を抱く」ってどういうこと?
あなた方、教育者ですよね?

私はそんなこと考えたこともなかったので一瞬何を言われたのか解らなかった。

「私はそんなこと考えもしませんでした。
  娘が行きたがるくらいだから、普通級ではしんどいのだろうと考えていました。
  娘も同じ障碍を持ち、学校ではかなり辛い思いをしました。
  去年は私も娘も担任の先生でかなり痛い目をみています。
  そのこともあって私は支援級を希望したんです」

「お姉ちゃんでしたか?
  担任と相性が悪かったんでしょうな」

「他の子に加配の先生が付いているのが羨ましいと言っていました。
  自分にもついてくれたらいいのに、と。
  娘を見ていてやっぱり普通級ではしんどいんだろうと思ったんです」

「太郎くんは私たちのこういうような話を聞いて理解していますよね?
  そのことこそが彼の自己評価を下げているとは思いませんか?」

「私たちが保育園に行った時も集団の中で指示に従い行動していました。
  お友達と揉めることもなく、我々にも話しかけてくれました。
  社交性も問題ない。むしろ、先生には可愛がられるのではないですか?」

「友達とケンカになっても自分だけが怒られる。みんながタロが悪いって言う。
  だから、タロは何も言わん。って言ってます。
  もう、5年も通っていますから、慣れたのもありますし・・・」

「そう、彼の知能なら慣れることも出来るし、自分で対処法を学習することも出来るんですよ。
  確かに彼の特性はこれから先、消えてなくなることはないでしょう。
  一生、彼が抱えて生きなくてはならないものです。
  でも、彼なら自分で気付き、学べるんです。
  普通級で社会性を学ばせてあげてはどうですか?」

この時点で、私はもう返す言葉も、気力も無くなっていました。
そして、とどめの言葉。

「大学の教授や研究者の中には彼と同じ特性を持った人がたくさんいます。
  ビルゲイツもそうらしいですね?
  太郎くんだって・・・(この辺りから聞く気になれなくて覚えてません)」

「外で我慢して、家に帰ってお母さんに対しては甘えが出てしまう。
  そういうのは子供ならみんなあることじゃないですか」

この人たちには何を言っても無駄だ

これは、特支クラスの再検討の為の面談ではなく、私に諦めさせるための面談でしかないと思いました。

「では、普通学級で何かあった場合の措置は直接学校にお願いすればいいんでしょうか?」

そう切り出すとホッとしたような様子でした。(被害妄想?)

「そうですね、対応は学校によって違いますので、私がここでどうするかまではお答えできません。
  それに、S小学校は市内でも特別支援教育には積極的に取り組んでいる学校です。
  校長先生、教頭先生ともに積極的に取り組んでおられると認識しています。
  ですから、普通級でも大丈夫ではないでしょうか?」

「加配などの措置も学校にお願いすればいいですか?」

「そうですね。ただ、補助員の人数も限られたものですから、
  学校側がやっぱり支援クラスの方がいいのではと判断した場合は、支援クラスへということもあると思います。
  その場合、年度の途中では出来ませんから、新年度からということにはなりますが」

結局はそういうことなんだ。

姫と同じように太郎にも我慢しろと。

心が壊れて行くのを知能でカバーして乗り越えて行けと。

そして、どうしようもなくなってから言いに来いと。

特別支援教育って何?
子供たちの心が壊れる前に、壊さないように、大人が手を差し伸べるものじゃないの?

知能の高さが何になるの?
心が壊れてしまったら何の役にも立たない。
それならいっそ何も解らない方が良かったって思ってしまう。

「タロなんかいなくなればいいのに。おらん方が良かったのに」
そんな風に自分を責める5歳の子が大丈夫なんでしょうか?


これから太郎の為に何が出来るだろう。

小学校の入学がこんなに気が重いものだなんて。
今は少しの希望も持てない。


今朝、太郎が言ってた。

「タロな~、めっちゃ迷ってることがあるねん。
ランドセル、黒と赤のどっちにしようかなって」

「黒の方がかっこいいと思うよ」

「じゃあ黒にする~」

普通は男の子は赤は選ばないって、選択肢にすら入らないなんて、太郎は考えてないんだろうな。

姫も太郎も先入観というものがないような気がする。
心がまっさらなまま大きくなった。

誰かに「変って言われた」から変。
「おかしいって言われた」からおかしい。
逆に言えば、誰かに言われなければ変ともおかしいとも思わない。

だから「暗黙の了解」なんて通用しないんだろうな。

姫がそうだったように太郎も「暗黙の了解」が解らないために
責められたり、浮いちゃったり、笑われたりするのかな

その度に傷ついて笑顔が消えて行くのかな

辛いなぁ