貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

「弁当箱」型結晶

2022-02-04 22:27:16 | 漫筆

ネットを見ていたら、ちょっとびっくりのことがあったので、予定外投稿。

前にうちのフローライト「岩男」君の「弁当箱」型結晶について書いたことがあります。こんなん。

何でこんな奇妙な結晶「らしきもの」があるのかと不思議に思っていたのですけど。

これとそっくりなものを cute stone さんのサイトで見つけました。中国ヤオガンシャン産のブルー×グリーンフローライト。ちょっと部分をキャプチャさせてもらいました。

商品説明には「一部の結晶内部が身がつまっているような独特の見た目をしているのが特徴です」とあります。
うちの岩男君の「グリーンピース入り炊き込みご飯の弁当箱」と似てますねえ。

なんでこんなものが、と思っていたのですけど、この前、「骸晶」って何じゃい、と探っていたら、結晶は中心より稜の部分が急速に発達することがあるという解説がありました。熱水中の成分濃度の関係らしいのですけど、ちょっとよく理解できていません。まあともかく、結晶は必ずしも中心から順々に外側へ成長していくというわけではないらしい。
けど、外側が急速に育ったにしても、内側がなんでこんなにぐちゃぐちゃになったのかは、よくわかりません。
よくわからないけど、こういうものもあるのだなあ、と改めて感心した次第。


悪魔の石?

2022-02-04 20:24:59 | ややレア

変な名前の石トップ10に入るでしょう。
デビル石。

デビルとかサタンとかデーモンとかは、まあ、悪魔ですね。言語や宗教や地域によっていろいろ名前が変わる。あれこれ説明を付けたりするけれど、つまるところ悪い霊的存在ということ。その本性は何かとか、どうして存在するかとか、どういう属性を持つかとか、面倒くさい理屈がたくさんあるけれど、実は正体不明。神と同じ。(おいw) でもまあ、いるんですけどね。(何だよその断定は)

そんな石があるわけがない。
国際名では Devilline、デヴィリン。19世紀フランスの化学者でアルミニウムの鉱業的精錬法を確立したアンリ・エティエンヌ・サント=クレール・ドゥヴィーユ(Sainte-Claire Deville)から来たもの。フランス語では -ille は「ユ」だったり「ル」だったりする。de は英語の of で、ville は村。悪魔とは関係ない。ドヴィーユ石とすべきだったかも。

銅の二次鉱物。シアノトリカイトの項参照。
組成は CaCu4(SO4)2(OH)6・3H2O。硫酸塩で水酸基付き。変なの。カルシウムと銅がくっついているのも珍しいのではないか。カルカンサイト(胆礬 CuSO4・5H2O)にカルシウムがまじゃったという見方もできる。水分注意かな。

この標本はデヴィリンとセレナイトの共生標本。シアノトリカイトと同様、夕星庵さんでお手頃で出ていたので購入。この石屋さん、あちきは最近知ったのだけど、面白いもの、美しいものがけっこうお手頃値段で出ている。更新は週一回だけど100点くらい出て、瞬く間に sold out の焼け野原になる。説明もネームカードも丁寧だし、産地表記はしっかりしているし、すごい石屋さんです。

デヴィリンの緑はエメラルドかコーネルピンを思わせる軽やかな色。セレナイトがピンク色をしているせいで、なんかおもちゃっぽい彩り。あるいは金平糖か。どちらも結晶がぴかぴかしてきれい。これをこのままペンダントトップにしたら素敵かもしれない。ちょっとすぐに壊れそうだけど。

セレナイトは透明石膏。CaSO4・2H2O。カルシウム硫酸塩で含水鉱物。デヴィリンはこれに銅と水酸基が付加されている。ううむ。硫酸銅の熱水が石灰岩にぶつかって生まれたか。純粋志向者はセレナイト、銅と浮気したやつがデヴィリン、か。(浮気?) セレナイトのピンク色は何に起因しているのかは知らない。

悪魔石ではなくて、灰銅硫酸鉱とかにすればよかったんじゃないかしら。けどそれではこの美しい青が表わせないか。名前というのは困ったものですね。