貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

ゲータイトの「虹の石」

2024-10-13 11:41:15 | 単品

小さい黒真珠の塊ですか?みたいな。

丸っこくって、かわゆい。

虹色に輝く。写真じゃうまく出ないけど。

こういう丸いぶつぶつは気持ち悪くなることがあるけど、なぜかそういうことはない。きらきらと鉱物っぽいからかな。

Goethite, La Lapilla Mine, Alosno, Huelva, Andalusia, Spain. 36mm.
エヌズミネラルさんより。えらく安かった。

通称「虹の石」。
針鉄鉱。さあてこいつがいろいろややこしい。(ややこしいのが好きなの?)
国際名は Goethite。1806年にドイツ人鉱物学者レンツによって「文豪」ゲーテにちなんで名づけられた。ゲーテは鉱物収集家・研究家としても知られていて、そのコレクションは米国に保存されている。とのこと。
このゲーテさん、発音が難しい。そもそもオとエの中間の音なんて英語にも日本語にもない。明治の日本人はギョエテと表記したこともあった。「ギョエテとは俺のことかとゲーテ言い」という川柳がある。(何度も書くなw)
だから Goethite も発音が一定しない。英語人も「ゲーテ」「ゲーセ」「ゴーテ」「ゴーセ」「グーテ」「グーセ」「ゴウテ」(もういいよ)と言ったりするみたい。英語人ってけっこう発音いいかげんなのね。th は英語だと例の「舌を上下の歯の間にはさんだス」になるけど、ドイツ語ではたぶん t と変わらないのではないかと思う。ほんとかどうかは知らない。昔、生粋のドイツ人と話した時に、彼はニーチェのことを「ニーツシェ」と発音しおった。どうもドイツ語は綴りの通りに発音するらしい。ベートーヴェンはほんとはベートホーフェンだしね。(何の話だよ)
th を「ス(擬)」と発音するのは英語人の傲慢であるようにも思えるし、「ゲース」じゃ誰のことかわからないから、やっぱりこれは「ゲータイト」ないしは「ゲートハイト」と表記すべきではないか。ああうざい。針鉄鉱でいいよ。

で、鉱物としての針鉄鉱もややこしい。組成は FeO(OH) で同質異形にレピドクロサイト=鱗鉄鉱 Lepidocrocite、フェロキシハイト Feroxyhyte などがあって、ゲーテはレピと一緒に褐鉄鉱=リモナイトないしライモナイトを形成する。褐鉄鉱は正式鉱物名ではないけど、いちいち分析するのはメンドクサイので「まあ褐鉄鉱だね」と大雑把に使われる。ド素人はわけわからんくなる。
ちなみによくある「レピドクロサイト・イン・クォーツ」というのは mindat によれば実はヘマタイトイン・クォーツだそうで。

で、この「虹の石」は、「針鉄鉱の表面に酸化被膜が形成されることでいろいろな色が輝く」と言われている。ん? 針鉄鉱自体が酸化鉱物じゃね? さらに酸化する?
酸化被膜ではなくて鱗鉄鉱との混和によって起こるという示唆もある。
さらに針鉄鉱とヘマタイト=赤鉄鉱 Fe2O3 との混和によって鮮やかな虹色を見せる「ターガイト」という石もある。正式鉱物名ではない。mindat にいろいろ書いてあるけど、イリデッセンスの原因ははっきりとしていないみたい。ターガイトという呼称も「やめたほうがいい」と。
これも「ターガイト」である可能性もなきにしもあらず。まあ「よくわからんけど一応針鉄鉱」ということでいいでしょう。
針鉄鉱は水中沈殿でも形成されるというから、この丸っこい形はそれでしょうね。けど、こんな絶妙な造形は簡単にはできないでしょう。誰か作者がいるに違いない。(よしなさいw)

ちなみに、似たような虹色ぎらぎらの石に「ピーコック・オア=孔雀の鉱石」というのがある。こちら。こっちの方は銅鉱物ですな。

はあ、ややこしかった。うんざり。(読まされる方だってうんざりだろw)
ともあれ、美しい石です。


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