翡翠ではない。
長崎でも翡翠輝石が出ることはあって、「長崎市指定天然記念物戸根渓谷ヒスイ」は石英混合の翡翠輝石、つまり曹長石由来輝石の稀有な標本とされている。しかし「長崎ヒスイ」はそれとは関係ない。
では何だと言われると、これがよくわからない。
いわゆる「キツネ石」、苦灰石や石英などを主体とする混合岩石とする見解もある。
「緑色岩/緑色片岩」つまり玄武岩由来の変成岩という見解もある。
オンファス輝石やネフライトという可能性もある。
長崎で採れる緑の石は全部「長崎ヒスイ」になっちゃう。
さて何でしょう。
ヤフオクで「長崎県産長崎ヒスイ」として出ていたもの。
明るい緑。薄赤。キラキラした点々。ちょっとカサカサしているけれど、なかなか美しい。
君は一体誰だ?
ネットでちょっと調べてみると、西彼杵半島西部、西海市雪浦にこれとそっくりな岩帯がある。西海市ではこれを「一億年前の岩盤から生まれた長崎ヒスイをみよう」というツアーにしているらしい。こちら。
また、こちらにも、似たような緑と赤茶のちょっとアンティークっぽい観賞石が紹介されている。ここでは「クロム、ニッケルによって色がついたドロマイト(苦灰石)と石英が混合した岩石」という説を上げている。
これらから察するに、正統的な「長崎ヒスイ」は、ニッケル含有ドロマイト主体の、赤っぽい石も含む混合岩石ということになるでしょうか。今回ゲットしたものもそれでしょう。
ただしオンファス輝石やネフライトのものが「偽物」というわけではない。それもまあ「長崎ヒスイ」、長崎で採れた真正の翡翠輝石もまた「長崎ヒスイ」。
で、この石が何でできているか。それは鑑別能力のないあちきにはわからない。赤っぽいのは鉄分を含んだ石英だろうか。肝心の緑の部分は、どうも苦灰石あたりの質感。明るい緑は確かにニッケルっぽい感じもする。
本翡翠のような稠密な質感や輝きはないけれど、オイルか樹脂を浸して磨けばきれいな加工石になりそう。
しかし、長崎ヒスイにしろ日高ヒスイにしろ、別の名前をつけてあげたほうがいいような気がする。どうしても本翡翠のまがいものみたいなイメージになってしまうから。
地方地方にはこういった味わいのある石があるようです。まだまだ知らないことばかり。
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