よしーの世界

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犠牲のシステム 福島・沖縄   高橋哲哉

2020-10-16 06:41:30 | 
3・11以降に噴出したメッセージの嵐に居心地の悪さを感じた人はとても多いと思う。絆とか、一つ

になって頑張ろうとか、私が一番苦手な連帯意識で心の奥底に差別を持ちながら上辺だけは取りつくよ

うな日本人の意識が常に見え隠れし、とても正視できない。勿論世界中何処にも差別はある、貧困も格

差も隠しようがない。福島の原発も絶対に安全だと言い続け、利益誘導に住民も踊らされ、いざとなれ

ば東電は撤退して県民を犠牲にしようとしていた。国と経産省と東電の利益だけを守るために。


その時にマスコミは海外の報道にあった「フクシマ50」の文言に乗っかり、「平成の特攻隊」だの「

決死隊」と英雄視して、問題の本質に全く触れようとしない流れを作った。今も廃炉に向かって作業を

続ける被爆労働者は電力会社の下請け、孫請け、ひ孫請けの非正規労働者が殆どで、その実態をマスコ

ミが扱うことはない。


沖縄の基地問題も同様で、日本の大多数の人々はなるべく触れないようにして、議論の遡上に乗せるこ

ともない。そもそも米軍基地がそれ程必要なのか?他の国では米軍の縮小が実際に行われているのに日

本だけは周辺国の脅威を煽り、基地問題に蓋をしようとする。根本の議論がない。


本書で表されている犠牲のシステムは限界に来ている。日本の将来に対する明確な方向性が示されてい

ないので議論をまともに戦わせることすら出来ない。日本の国益とは何なのか、今一度考える必要があ

る。この本は出来るだけ多くの国民に読んでもらいたい。


犠牲のシステム 福島・沖縄     高橋哲哉      集英社新書
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