よしーの世界

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日本人へ 国家と歴史篇   塩野七生

2021-01-27 06:53:09 | 
後数ページで読み終わる時に、まだ読み続けたいと、そう思った程面白く感銘を受けた。塩野氏は以前

テレビ番組で拝見し、新書「ローマ人への20の質問」も読みましたが、独特の感性と知性に裏打ちされ

た発言が新鮮です。大体夢の内閣を作るにあたって古代ローマの歴代皇帝を引っ張り出してくることか

らして一般人には思い及ばないことで「ローマ人の物語」15巻を書いている著者ならではである。


政治的なスタンスは私と違いますが、世界に日本を発信することに関しては得心しました。特に日本の官

僚は世界に向けてのアピールは苦手だと思える。


日本とはの自らの問いに、ーもしも外国人の誰かがこの日本の歴史を書くとしたら、個々の分野では才能

ある人に恵まれながらそれらを全体として活かすことを知らなかった民族、と書くのではないだろうか。

ーには大きく頷いてしまった。


エッセイ集としても面白く、著者のイタリアに渡り本を書き始めた頃の話や今の暮らしぶり、ファッシ

ョンなどに対しての著者ならではのこだわり、楽しみ方。さらに日本の政治に関しても独自の見解を述

べており興味が尽きない。


映画もよく観て、お酒も好き(日本酒の記述で漢字の重要さを説くところが楽しい)、ファッションも

愉しむ著者は本当に人生を謳歌していると思う。窮屈になりがちな日本の文壇とは距離があることも、

本書の爽やかな読後感に通じるのかもしれない。


日本人へ  国家と歴史篇       塩野七生     文春新書

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