よしーの世界

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ローリング・ストーンズを経営する  プリンス・ルパート・ローウェンスタイン

2021-10-06 06:49:14 | 
ローリング・ストーンズは巨大産業である。例えば2005年8月に始まった「ア・ビガー・バン(大きな一

撃)・ツアー」では年末までに1億6200万ドル(179億7500万円)を稼ぎ出している。勿論他にレコード、

CDなどのアルバム収入、映画DVD、グッズ販売等々信じられない稼ぎだ。それが60年代末のすでに売

れていてライブもいくつもこなしている時期に、ヴォーカルのミックは「金がない。バンドのメンバーに

も金がない」という。そして長い名前の著者が登場する。貴族出身で銀行家の著者はストーンズがアメリ

カ進出のために契約した悪名高い弁護士アラン・クラインが元凶であることを突き止める。何しろ「金は

すべてクラインの懐に入り、そこからメンバーに与える」という状況だった。そしてレコード会社のデッ

カとの契約問題も大きな障害になっていた。著者は膨大な契約書を丹念に読み込みストーンズの未来に多

大な影響を与える。


ロック・ビジネスが途方もない金を生むことに人々が気付いたのが1960年代だ、最初はアメリカ。まだイ

ギリスでは気づく直前で、うまく立ち回ったのがアメリカの音楽業界人、弁護士たち。ストーンズのビジ

ネスに参入して成功を収めた著者は音楽業界の古い因習とも戦い、新しいビジネス手法を持ち込む。これ

によって沢山のミュージシャンが恩恵を受けたはずだ。


当然ストーンズのメンバーのスキャンダラスな話題もいくつも登場する。ミックの女性関係、ドラッグ問

題、ミックとキースの確執、ストーンズの裏側を少し離れた所から見た著者のビジネス的対応が興味深い。

そして著者の貴族出身という出自があらゆる方面への働きかけを有利に導く、世界ツアー(ロシア、中国、

南アフリカ、日本などなど)でのコミットメントは普通人では不可能だろう。


ただ固有名詞がやたら出てくるのは辟易する。本テーマにそれ程関係しないだろう人の名前もかなり登場

し読みにくい。著者の子供たちの話も退屈だった。付録は読み飛ばした。


ローリング・ストーンズを経営する   プリンス・ルパート・ローウェンスタイン  河出書房新社
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