残念ながら私はキャバレーを体験したことがありません。キャバレーは私が生まれる前、太平洋戦争
敗戦後1946年暮れ頃から、ダンスホールと共に次々に開店し、1950年朝鮮戦争の勃発による特需を
起爆剤に日本が戦後復興を果たし、企業が想定以上の利益を生みだし、社用族なるモノが生まれた頃
が全盛期で全くかすりもしませんでした。著者の福富太郎氏は私が子供の時分、テレビでキャバレー
王として何度か見かけた記憶があります。
本書によると1906年(明治39年)に現在の銀座6丁目に台湾喫茶店が開店し、2人の美女がサービス
をしたと記されています。そして銀座にはカフェーが開店し、1925年にはダンスホールが隆盛となり、
警視庁が取り締まりを行っています。広いキャバレーやダンスホールでは音響設備が貧弱だったため
バンドが活躍し始め、太平洋戦争突入と共にジャズなどの洋楽の演奏も禁止、店の営業自体が自粛要
請を受けるようになります。
前述しましたが戦後の焼け跡から、日本では驚異的な経済成長を遂げ、その波にキャバレーは乗り、
隆盛を極める事となります。国民は必死に働き、一所懸命に憂さを晴らしたのでしょう。
相当な稼ぎがあったことで、闇の勢力も暗躍し、警察沙汰になった件は数知れず、経営者も必死に店
の防衛をしたとあります。様々な事件が記されており、昭和の裏面史として貴重なものです。当時の
エネルギーの凄まじさ、男女ともに生き抜くために必死の様子が詳細に描かれています。
昭和キャバレー秘史 福富太郎 文春文庫✙
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