そばかすの天使
叫びすぎて枯れた喉は もはや 誰を求めていたのかも忘れ 非常灯だけの 終電の...
極端な間隔のリ・インカーネーション
静かにつたう汗、じっとりと 肌に張り付いてゆくシャツ 睡魔の前に悪あがきする俺の...
イントロダクションⅡ
それは訝しんでいるような躊躇 それは画策しているような沈黙 それは放棄しているよ...
休日、蜘蛛のルビーと蝶のカフェオレ
ホイップクリームの渦巻きの様に湿度が脳髄に雪崩れ込むので、すべてにおいて適当で...
真昼の銃創
常軌の線上を、僅か踏み外した爪先 指の根元からふくらはぎまで 気狂いじみた痙攣が走...
羽根越し、夜気に散乱した彼方
網戸に張りついた蛾が俺の振幅を観察している、俺は奴の羽越しに 待ち呆けた女のような...
STANDING AROUND CRYING
爪先が遊び始めたスニーカー履いて、瓦礫交じりの町並みを駆け抜けて行くお前 器量良...
死にもしないのに転生の夢を見る
光線が 頭の中を ゆっくりと駆けるのを見ていた それはまるで泳ぐ蛇のようで そし...
時々何の理由も無く弄ばれてしまう
自戒的な項目を幾つか、カラの皿の上に並べて、はたしてそれは幻想の様なものかと自問...
湿度の高い夜に死んだ猫の爪が昂ぶりの口火を切る
湿度の高い夜に死んだ猫、そいつの鳴声が隣で聞こえる暮れ方 茜は誰かの血を含んだよう...