いやはや、まさかお正月をひたすら雪かきして過ごすことになるとは思いませんでした。が、とにかく雪かきしないと車が動かない、車が動かないとどこにも行きようがない、ということで、今日も午前中から雪をかきまくってました。
今日は幸いにも雪が降らず、午後には雨が降って幹線道路の雪はかなり溶け始めていたのですが、なにぶんにも実家がある住宅団地は市街から外れた、山々に近いところ。雪が深いだけでなくて、団地住民しか道路を使わないため、今日になっても雪がしっかり残っていたわけです。
しかも、気温が上がって雪が少し緩くなっていたので、雪の上を車で行こうとすると柔らかいところでわだちにはまって立ち往生してしまうのです。今日も何十台もの自動車が道路の真ん中で立ち往生してました。その度にみんなでスコップを持って救出に出動してました。
結局、夕方近くになってようやく車で市街地に出ることが出来たのですが、市街地でもスーパーなどで駐車場の除雪が出来ていないところが多くて、ここでも立ち往生している車が多数。ん~、こんな状態の松江を見るのは初めてのことです。これも貴重な経験ですね。
さて、今日はその雪かきの合間をぬって、昨日の夜から読み始めていた『日本の若者と雇用:OECD若年者雇用レビュー:日本』を読みながら、若年層雇用の問題について思いを巡らしました。
かつて日本は、(1)大きな労働需要、(2)学校が企業と連携して自校の生徒に職業紹介を行うという独自の学校から職業への移行システム、(3)終身雇用制度の下で企業が新規採用者に職業訓練を徹底的に提供する制度、などによって、若年層の失業率と離職率がそろって低いという特徴を持っていたわけですね。
ところが、90年代以降、この条件が崩れ去ってしまいました。バブル崩壊による労働需要の低下や、労働市場の柔軟化による非正規雇用の増大、企業による職場訓練(OJT)機能の低下などによって、新卒者および若年層の雇用環境が年々厳しくなってきた。それが今の状況なわけです。
OECDは、日本における若年層雇用の問題は、いくつかの構造的要因によって引き起こされていると分析し、それぞれについて処方箋を提起しています。特に重要な三つの点を、下記に紹介しておきます。
第一に、既存の教育制度の問題です。
以前は、若年層の職業教育というのは企業のOJTに委ねられていたわけです。そのため学校は、自分のところで職業教育や訓練をする必要がなくて、あくまで学問的な教育に集中していれば良かったのですね。ところが、企業の終身雇用と企業内訓練(OJT)の重要性が低下したとたんに、学校教育の内容が、いかに労働市場の要求に合致していなかったかが露呈してしまいました。学校の役割というのは、子どもたちを社会=労働市場へとスムーズに送り出すことのはずなのに、学校では職業教育や訓練がほとんど行われておらず、今、子どもたちは社会へ出るための準備ができないまま社会に放り出される状況になっているということです。
この問題に対する処方箋は二つ。一つは、学校で、特に高校や大学で、しっかりとした職業教育や職業訓練を教育課程に組み込むこと。もう一つは、企業の外、いわゆる外部労働市場で、これから社会に出る子どもたちや離職した若年層の求職者に職業教育や訓練を提供するシステムを作り上げることです。学校から職業への移行を最大限スムーズにするための施策が求められているわけです。
第二に、雇用保護規制の問題です。
これまで日本の雇用保護規制は、伝統的に終身雇用制度と連動してきたために、今や正規雇用(正社員)と非正規雇用(非正社員)との間に大きな格差を生じています。これが、OECDが指摘する日本の労働市場の「二重性」という問題ですね。正規雇用には比較的強い雇用保護がある一方で、非正規雇用の雇用保護が非常に弱いということです。
この問題に対してOECDは、非正規雇用に対する保護を強めつつ、正規雇用に対する保護を緩めることで格差をなくし、両者の均等待遇の実現をめざすべしと提言しています。
正規雇用に対する保護を緩めるという点については、解雇規制の緩和がさらなる雇用の不安定化につながるという点で抵抗が強いかも知れません。しかし、OECDが提案しているのは、「判例法理に依存した現在の手続きよりおより明確で、より予測可能で、より迅速な手続きを導入すること」であり、かつそれを政労使三者による協議によって計画・実施することです。
この点、実は日本でも、中小企業ではすでに雇用規制はかなり形骸化していることを考えれば、非正規雇用に対する保護規制の強化と、失業者・求職者に対する社会的支援システムの強化とセットで再検討する時期に来ているのかも知れません。
そして第三に、若年層雇用に関する公的支援の問題です。
これまで若年層雇用問題は政治の中心課題ではなかった(本当はとっくにそうであるべきだったのに)ため、日本では若年層に対する雇用支援や所得保障が非常に弱かったわけです。上述のように、基本的に若年層の雇用や職業訓練は企業がその役割を担ってくれていたので、政治は何もしなくて良かったわけですね。実際、労働市場の自由化を進めた時期に、同時に必要な施策を打たなければならなかったのですが、何もしなかったのです。
これについては、若年層向けの積極的労働市場プログラムや、雇用保険の適用拡大等による所得保障プログラムなどを拡充することが必要です。OECDも、今、政府が取り組んでいる各種の施策については評価をしてくれているようですが、それを一層、強化していくことが求められています。
つまり、今後の政策的なポイントをまとめると、(1)学校から職業への移行を円滑にするための施策、(2)若年層雇用の障壁となる労働需要側の問題を取り除くための施策、(3)雇用・職業能力開発を支援し、休職中の所得を保障するための施策、ということになります。
全ては書ききれませんが、この他にも現状分析や政策提言が盛りだくさんで、なかなかに示唆に富んだレビューでした。特に、政策提言については、今後の若年層雇用対策の参考になるものだと思いますので、引き続き検討を進めていきたいと思います。
今日は幸いにも雪が降らず、午後には雨が降って幹線道路の雪はかなり溶け始めていたのですが、なにぶんにも実家がある住宅団地は市街から外れた、山々に近いところ。雪が深いだけでなくて、団地住民しか道路を使わないため、今日になっても雪がしっかり残っていたわけです。
しかも、気温が上がって雪が少し緩くなっていたので、雪の上を車で行こうとすると柔らかいところでわだちにはまって立ち往生してしまうのです。今日も何十台もの自動車が道路の真ん中で立ち往生してました。その度にみんなでスコップを持って救出に出動してました。
結局、夕方近くになってようやく車で市街地に出ることが出来たのですが、市街地でもスーパーなどで駐車場の除雪が出来ていないところが多くて、ここでも立ち往生している車が多数。ん~、こんな状態の松江を見るのは初めてのことです。これも貴重な経験ですね。
さて、今日はその雪かきの合間をぬって、昨日の夜から読み始めていた『日本の若者と雇用:OECD若年者雇用レビュー:日本』を読みながら、若年層雇用の問題について思いを巡らしました。
かつて日本は、(1)大きな労働需要、(2)学校が企業と連携して自校の生徒に職業紹介を行うという独自の学校から職業への移行システム、(3)終身雇用制度の下で企業が新規採用者に職業訓練を徹底的に提供する制度、などによって、若年層の失業率と離職率がそろって低いという特徴を持っていたわけですね。
ところが、90年代以降、この条件が崩れ去ってしまいました。バブル崩壊による労働需要の低下や、労働市場の柔軟化による非正規雇用の増大、企業による職場訓練(OJT)機能の低下などによって、新卒者および若年層の雇用環境が年々厳しくなってきた。それが今の状況なわけです。
OECDは、日本における若年層雇用の問題は、いくつかの構造的要因によって引き起こされていると分析し、それぞれについて処方箋を提起しています。特に重要な三つの点を、下記に紹介しておきます。
第一に、既存の教育制度の問題です。
以前は、若年層の職業教育というのは企業のOJTに委ねられていたわけです。そのため学校は、自分のところで職業教育や訓練をする必要がなくて、あくまで学問的な教育に集中していれば良かったのですね。ところが、企業の終身雇用と企業内訓練(OJT)の重要性が低下したとたんに、学校教育の内容が、いかに労働市場の要求に合致していなかったかが露呈してしまいました。学校の役割というのは、子どもたちを社会=労働市場へとスムーズに送り出すことのはずなのに、学校では職業教育や訓練がほとんど行われておらず、今、子どもたちは社会へ出るための準備ができないまま社会に放り出される状況になっているということです。
この問題に対する処方箋は二つ。一つは、学校で、特に高校や大学で、しっかりとした職業教育や職業訓練を教育課程に組み込むこと。もう一つは、企業の外、いわゆる外部労働市場で、これから社会に出る子どもたちや離職した若年層の求職者に職業教育や訓練を提供するシステムを作り上げることです。学校から職業への移行を最大限スムーズにするための施策が求められているわけです。
第二に、雇用保護規制の問題です。
これまで日本の雇用保護規制は、伝統的に終身雇用制度と連動してきたために、今や正規雇用(正社員)と非正規雇用(非正社員)との間に大きな格差を生じています。これが、OECDが指摘する日本の労働市場の「二重性」という問題ですね。正規雇用には比較的強い雇用保護がある一方で、非正規雇用の雇用保護が非常に弱いということです。
この問題に対してOECDは、非正規雇用に対する保護を強めつつ、正規雇用に対する保護を緩めることで格差をなくし、両者の均等待遇の実現をめざすべしと提言しています。
正規雇用に対する保護を緩めるという点については、解雇規制の緩和がさらなる雇用の不安定化につながるという点で抵抗が強いかも知れません。しかし、OECDが提案しているのは、「判例法理に依存した現在の手続きよりおより明確で、より予測可能で、より迅速な手続きを導入すること」であり、かつそれを政労使三者による協議によって計画・実施することです。
この点、実は日本でも、中小企業ではすでに雇用規制はかなり形骸化していることを考えれば、非正規雇用に対する保護規制の強化と、失業者・求職者に対する社会的支援システムの強化とセットで再検討する時期に来ているのかも知れません。
そして第三に、若年層雇用に関する公的支援の問題です。
これまで若年層雇用問題は政治の中心課題ではなかった(本当はとっくにそうであるべきだったのに)ため、日本では若年層に対する雇用支援や所得保障が非常に弱かったわけです。上述のように、基本的に若年層の雇用や職業訓練は企業がその役割を担ってくれていたので、政治は何もしなくて良かったわけですね。実際、労働市場の自由化を進めた時期に、同時に必要な施策を打たなければならなかったのですが、何もしなかったのです。
これについては、若年層向けの積極的労働市場プログラムや、雇用保険の適用拡大等による所得保障プログラムなどを拡充することが必要です。OECDも、今、政府が取り組んでいる各種の施策については評価をしてくれているようですが、それを一層、強化していくことが求められています。
つまり、今後の政策的なポイントをまとめると、(1)学校から職業への移行を円滑にするための施策、(2)若年層雇用の障壁となる労働需要側の問題を取り除くための施策、(3)雇用・職業能力開発を支援し、休職中の所得を保障するための施策、ということになります。
全ては書ききれませんが、この他にも現状分析や政策提言が盛りだくさんで、なかなかに示唆に富んだレビューでした。特に、政策提言については、今後の若年層雇用対策の参考になるものだと思いますので、引き続き検討を進めていきたいと思います。