石橋みちひろのブログ

「つながって、ささえあう社会」の実現をめざす、民主党参議院議員「石橋みちひろ」の公式ブログです。

東京都の新しい新卒者向け就業支援策

2011-01-10 23:13:46 | 活動レポート
まずはこの東京新聞の記事をどうぞ:

 ・「都が新卒者ら就業支援 中小企業に試用派遣」(東京新聞 2011.01.10)

"就職が決まらずに大学や短大を卒業した若者たちを対象に、東京都は、社会人としてのマナーや心構えを指導する集団研修から、中小企業に就職するまで一貫支援する取り組みを新たに始める。学生は大手志向が強く、採用意欲はあるのに志望者が少ない中小企業との「雇用のミスマッチ」を解消する狙いだ。二〇一一年度予算案に十五億円を計上し、七百五十人の就職を目指す。"


これ、なかなか面白い取り組みです。特に、若年求職者と中小企業とのマッチングをターゲットにしているという点で、国の政策としても検討するべきではないかと思います。

最新の労働力調査である2010年11月のデータを見ると、失業率は5.1%。前月と同じで、未だ高止まりをしています。ただし、完全失業者数は6ヶ月連続で減少していて、昨年同月より13万人少ない318万人。特に、勤め先の都合による非自発的離職者数が25万人減の89万人と大きく減少する一方、自発的離職者数は2万人増加して103万人になっています。

 ・参考「労働力調査(基本集計) 平成22年11月分(速報)結果」(総務省・統計局)

また、既報の通り、同11月の有効求人倍率は前月より0.01ポイント高い0.57倍で、これは7カ月連続の改善になっています。有効求人数(季節調整値)は前月より1.9%増。新規求人倍率(季節調整値)も0.95倍となって、前月から0.02ポイントのアップでした。

これらのデータを見ると、全体の雇用状況は未だ厳しいのは確かですが、少しずつ改善の兆しも見られてきていることが分かります。これで、予備費の活用による緊急経済対策、さらには平成22年度補正予算によるさまざまな対策が実を結んでくれば、さらなる改善が期待出来るでしょう。そしてそれが、労働者の可処分所得の増加につながって国内需要を刺激し、さらなる景気回復と雇用増につながるという好循環に結びつけていかなければなりません。

ただその際、やはり心配なのが新卒者と若年者の雇用問題です。同じく昨年11月発表のデータによれば、大卒も高卒も就職内定率が過去最低レベルに止まっていて、このままでいくと多くの学生たちが社会への入り口で足踏みすることになってしまいます。

だからこそ、政府も新卒者および若年層向けには集中的に雇用対策を打っています。例えば・・・

 (1)新卒応援ハローワークの設置
     ※大卒・高卒就職ジョブサポーター」を増員
     ※臨床心理士等を配置して心理的な問題を抱える新卒者等をサポート

 (2)新卒者就職応援本部の設置

 (3)新卒者就職実現プロジェクトの実施
     ※3年以内既卒者トライアル雇用奨励金
     ※3年以内既卒者(新卒扱い)採用拡大奨励金
     ※既卒者育成支援奨励金
     ※新卒者企業実習推進事業(新卒インターンシップ事業)

 ・参考「厚生労働省 若年者雇用対策ホームページ」(厚生労働省)

そして、この新卒者・若年者の就職動向のカギを握っているのは、企業数で99%、労働者数で7割以上を占める中小企業なのですね。

ここに興味深いデータがあります。リクルートのワークス研究所が昨年4月に発表した「大卒求人倍率調査(2011年卒)」ですが、企業の求人倍率は企業規模によって下記のように違ってきているのです:

  巨大企業(5,000人~)   求人倍率 0.47倍
  大企業(1,000~4,999) 求人倍率 0.63倍
  中企業(300~999)   求人倍率 1.00倍
  小企業(~299)     求人倍率 4.41倍

これは、昨年4月の時点での企業の求人予定者数と、2011年3月に卒業予定の大学生・大学院生の就職希望先とを照らし合わせて算出した数字だということなので、単純に中小企業に就職する気がない学生が圧倒的だとは言えないところもあります。が、このデータではっきりと分かることは「新卒予定者の大企業志向がとっても高い」ということです。まず第一希望は世間に名の通った大企業で、ダメならだんだんと小さいところでも応募してみる、というような志向性があるのではないでしょうか。

現実には、中小企業にも優良企業はたくさんありますし、大企業よりも利益率が高く、安定していて、条件の良い企業だってたくさんあるのです。にもかかわらずなぜ大企業志向が強いかと考えると、やはり(1)世間体、(2)安心感や満足感、(3)信頼性、(4)情報量、(5)入社後のつながり、(6)賃金、労働条件、各種福祉施策、(7)職業訓練や能力開発へのアクセス、などの要素において、大企業と中小企業との間に現実的な、または先入観・イメージによる格差が存在するからなのでしょう。

冒頭の東京都の新しい取り組みは、その大企業と中小企業とのギャップ(のいくつか)を政策的に埋めようという試みと言えます。特に、新卒者や若年求職者にとって中小企業に関する情報量が圧倒的に少ないという点を克服することは、公的機関の役割としてとっても重要なことなのではないかと思います。単に求人情報に止まらない、中書企業の本質的な情報がしっかりと提供されれば、もっと中小企業を志向する学生が増えてくるのではないか、ということです。

この点、タイミング良く中央公論の最新号(2011年2月号)で、海老原嗣生氏が「四大卒も中小企業をめざせばいい」という論文で主張されているのですが、求職の時だけでなく、就職後のさまざまなフォローアップについても、中小企業就職者に対して公的な支援を提供する、しかもそれを地域のコミュニティー単位で行うことで、新卒者と中小企業とのマッチングの問題を解決していく、という支援策を国としても考えるべきでしょう。

東京都の施策の展開に注目しつつ、今後の新卒者・若年求職者者向け雇用政策にも活かしていきたいと思っています。

1月9日(日)のつぶやき

2011-01-10 02:00:48 | 活動レポート
08:30 from Twitter for Mac
おはようございます。今日は、ISFJ日本政策学生会議主催の「政策提言集会2011」に参加してきます。この会議は、学生が組織・運営している政策シンクタンクということで、今日は特に優秀な論文を国会議員に直接提言するという集会。学生たちとのやりとりが楽しみです。
by ishibashi2010 on Twitter