本日、11月12日(月)の午後、東電福島第一原発を訪問し、サイト内を視察してきました。
このブログをフォローしていただいている方はご存じのように、昨年の3月11日に発生した東電福島第一原発事故以降、私は特に現場で収束作業に従事をしてくれている作業員の健康・安全確保に力を注ぎ、民主党内に設置した作業班の班長としてさまざまな取り組みを行ってきました。
今でも覚えていますが、作業員の線量管理の杜撰さや生活環境の酷さに業を煮やし、「現場に行かしてくれ!」と当時の細野担当大臣に直訴したのが昨年の4月中旬のこと。結果、5月7日に第1回目のJビレッジ訪問が実現(7月に第2回目の訪問を実施)したわけですが、それから1年半かかってようやくサイトの訪問が実現したことになります。
最初に立ち寄ったJビレッジは、昨年5月~7月の状況からは全く様相を変えていました。騒然とした状況が全く消えて、ごく整然としていたのです。やはり、その後周辺の放射線量が下がり、Jビレッジのある広野町から第一原発側に位置する20キロ圏内の楢葉町が警戒区域を解除され、車両のサーベイチェックなどの機能が第一原発へ移設されたことや、作業員の数がピーク時から比べれば減っていることなどが影響しているのでしょうね。
以下、東電第一原発サイト内の様子を簡単に報告します。
サイト内に入って、まずは免震重要棟に入り、高橋毅所長から現在のサイトの状況について説明を受けました。高橋所長は、ほぼ1年前の昨年11月に、それまで陣頭指揮を執っていた吉田所長の後を引き継いで所長に就任し、以後、最前線でがんばっていただいています。
免震重要棟内のカベには、至る所に全国から寄せられた激励のメッセージや千羽鶴が飾られています。その多くは、子どもたちからのメッセージでした。どれほど作業員の皆さんが勇気づけられたことでしょうか。
これが、免震重要棟内のメインオペレーションルーム。原発事故発生直後から、収束作業の最前線になったところです。この免震重要棟があったからこそ、最悪の事態が防がれたと言っても過言ではありません。
これが、4号機と3号機の建屋の状況です。手前右側の4号機では、今、側面に、燃料プールの使用済み核燃料を取り出すための土台となる建屋を建設中です。奥左手の3号機には、今なお、上部にガレキが残っているのが見えると思います。水素爆発のすさまじさをあらためて確認できました。
これが汚染水を貯蔵するためのタンク。一つ一つ、巨大なタンクですが、これがおびただしい数、設置されています。全部で相当な量になるはずです。当面の貯蔵は問題ないとのことですが、「いつかは満杯になる」のが現実です。今、サイト内では、多核種除去装置の建設が進められていますが、これが少しは汚染水の状況の改善に役立つことを期待したいと思います。
4号機の海側には、今なお、津波で流された車の残骸などのガレキが残されたままになっていました。当時の惨状がうかがい知れます。
これが3号機の海側の側面。ここが今日の視察ルートで一番、線量の高い場所でした。1,500マイクロシーベルト(1.5ミリシーベルト)です。私たちはバスの中からの視察ですが、防護服も全面マスクも着用していないため、短時間でも止まれないということで、車でさぁっと素通りしただけでした。
そして、これが視察を終えた時の被ばく線量計の数字。0.024マイクロシーベルト。今日は、サイト内の滞在時間が約1時間半。バスの中からの視察で、バスを降りて外へ出たのは免震重要棟へ入る時と、5号機・6号機のそば(線量約5マイクロシーベルト)のあたりでバスを乗り換えたとき(それぞれほんの数秒)だけ。免震重要棟内では約20分間の行動。これでこの数字です。
実際、3号機の建屋付近が1,500マイクロシーベルトで、そこから約1キロ離れた5号機・6号機のあたりは5マイクロシーベルト。サイト内でも、これだけ線量が違うのに驚かされました。もちろん、3号機も、そして1号機・2号機も、建屋内に入ったらまた格段に線量が高いわけで、あらためて事故収束に向けた取り組みが大変長い戦いになることを思い知らされました。
今日の訪問は、民主党の原発事故収束・除染対策ワーキングチーム(WT)のメンバーを中心に、今後の取り組みに向けてまずはサイト内現場の現状を実体験する事が大事だということで実現したわけですが、冒頭お伝えした通り、これまで作業員の健康・安全管理問題に取り組んできた立場からも本当に貴重な視察となりました。
惜しむらくは、全面マスクを含む完全防護の服装で作業員の過酷な作業環境を体験し、建屋そばの作業現場で作業の状況を直に視察することが出来なかったこと、そして作業員の方々と実際にお話することが出来なかったことですが、それはまたこれから機会があることでしょう。いずれにせよ、今日の訪問で得た現場の"空気"を頭に焼き付けて、今後、WTの一員としてさらなる取り組みを図っていきたいと思います。
このブログを読んでくれている皆さんも、ぜひ、今なお、この過酷な現場で、3,000人もの作業員の皆さんが事故収束に向けた作業に従事してくれていることにあらためて思いを馳せていただいて、彼らにエールを送っていただければと思います。私も、引き続き、彼らの健康や安全がしっかり確保されるようがんばっていきたいと思います。
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