白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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ビフォーアフター

2016年11月01日 23時59分59秒 | 仕事・指導碁・講座
皆様こんばんは。
昨日は人の本の紹介をしましたが、自分の本を忘れていました。



「やさしく語る 碁の本質」の表紙カバーができました。
11月15日頃、書店に並びます!
出版元のマイナビやamazonなどでの通販でも買えますし、電子書籍版もあります。
11月8日頃、手元に見本が届く予定なので、その時また詳しくご紹介します。

さて、本日は少し変わった切り口での講座です。
題して、大改造!劇的「ビフォーアフター」です。
私は横浜の宇宙棋院で、月1回級位者教室の講師を務めています。
級位者の皆さんは、伸びしろたっぷりです。
突然レベルの違う碁を打たれるようになり、驚く事もしばしばです。
今日はそんな事例をご紹介しましょう。



(1図)Aさんのケース
以前、Aさんとの対局に現れた場面です。
白△と開きました。
右側の黒に迫られているので、次に黒Aなどの守りが必要です。





(2図)黒失敗
ところが、実戦は隅の地を気にして、黒1と守ってしまいました。
すかさず白2と打たれ、一瞬にして黒はバラバラになりました。





(3図)黒ぼろぼろ
石の強弱に関する意識の足りなかったAさん、その後も似たようなミスが続き、結果は石がぼろぼろ取られる事に・・・。
当然、結果も大敗となりました。





(4図)健康的な黒
しかし、今日の対局は違いました。
私の大盤解説、指導碁の手直しでは、著書と同様、石の強弱を第一にして打つ事の重要性をお伝えしています。
そして本日は、石の強弱について特に噛み砕いてご説明しました。
その効果が出たのでしょうか?
なんという事でしょう、黒△まで、黒石は全て健康的な姿です。
まるで、前図とは別人が打っているかのようですね。





(5図)Bさんのケース
以前、Bさんとの対局に現れた場面です。
白1と、左下の黒一団に迫りました。
黒としては、しっかり守っておかなければいけませんが・・・。





(6図)黒失敗
黒1、3と、よそ見をしてしまいました。
白2、4と追及され、隅の黒が千切られてはいけません。





(7図)Bさんのケース
しかし、今日はBさんも、別人のような碁を打ちました。
白△と打った場面で、以前のBさんなら、黒AかBと地を取りに行ったでしょう。





(8図)黒、積極的
なんという事でしょう、地ばかり気にしていたBさんが、石の強弱を最優先にしています!
黒1から白を分断し、自身は黒7まで、しっかり天元の石と握手しています。





(9図)黒、絶好調
白1に黒2、白3に黒4と、しっかり守っています。
自然に地も増えて行く展開で、黒絶好調と言えるでしょう。
後に黒Aと左辺白への攻めにも回り、好調は続きました。

このように、意識一つで碁は大きく変わります。
基本を大切にしたいですね。


さて、明日からはいよいよ、名人戦第7局ですね!
ここまで数々の名局を生み出した両者の戦いも、フィナーレへと向かいます。
再三申し上げて来たように、歴史的な一局です。
この一局だけは、必ずご覧ください!