白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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攻めの方向(5子局)

2016年11月15日 23時59分59秒 | 仕事・指導碁・講座
皆様こんばんは。
本日のテーマは攻めの方向です。
当ブログでは、何度もタイトルになっていますね。
力が強いのに、何故か攻めが上手くいかない方は、結構多いですね。
その原因としては、攻めの方向を間違えている可能性が高いです。
攻めの方向を間違えてしまうと、その後頑張ってもなかなか上手くいきません。



1図(テーマ図)
5子局で、黒が左下の白を攻めている状況です。
白△と逃げた所ですが、この後の正しい攻めの方向は、AとBのどちらでしょうか?
今回は難しいので、2択問題にしてみました。
高段者でも間違えそうな場面なので、気楽に考えてみてください。







2図(正解①)
黒1と、こちら側を止める手が正解です!
これによって、天元の黒石と左下の黒一団が繋がる事がポイントです。
白としては、白2と上方に逃げるしかありませんが・・・。





3図(正解②)
黒5まで、気分良く白を追いかけていきます。
なお、途中の黒3は大事な手で、左上の黒を万全にしつつ、白の退路を断っています。
この後、黒Aの打ち込みがいかにも厳しそうなので・・・。





4図(正解③)
白1、3と守るぐらいです。
この結果は、白はただ繋がっただけですが、黒は中央に勢力ができました。
そこで、この勢力を生かして黒4の打ち込み!
周囲が真っ黒なので、白を一方的に攻められます。





5図(正解④)
その後は、黒10までが一例です。
白が防戦に努めている間に、周囲の黒がどんどん固まっていきます。
自然に地が増えていく、黒必勝の流れです。





6図(失敗①)
黒1と、こちらに打ちたくなった方が多いのではないでしょうか?
実戦もこちらでしたが、失敗です。
黒△は強い石なので、こちらに進出される事を心配する必要はありません。
また、黒1によって将来大きな地ができる可能性も低いです。
白2と進出され、次に黒Aなら白Bと、右下の弱い石と繋がってしまいます。





7図(失敗②)
そこで、慌てて黒1と分断しましたが、白2と痛いハネを食ってしまいました。
黒にとって将来性のある、右辺の方に進出されています。
この後、黒は中央の白を全力で攻めましたが・・・。





8図(失敗③)
後に、白1の切りを入れて白3となり、ここの黒が取られてしまいました。
実は、黒は大きな弱点を抱えていたのです。
この弱点をカバーするためにも、1図黒Bで繋がっておく必要がありました。

攻めの方向を間違えると、損しながら攻める事になったり、自分の石を苦しめる事になったりします。
有段者から高段者、或いはその先の県代表クラスを目指すためには、避けては通れない課題です。