白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

許家元対AQ

2018年02月22日 19時58分49秒 | AI囲碁全般
皆様こんばんは。
木曜日は棋士の対局日です。
幽玄の間でも多くの対局が中継されましたので、ぜひご覧ください。

さて、本日は棋士対AQ三番勝負の最終局、許家元七段とAQ(黒)の対局をご紹介します。



1図(実戦)
許家元、お前もか・・・。
と言いたくなりますが、この局面ではぴったりの打ち回しという気もします。





2図(実戦)
白△まで、白が良い感じです。
全体がつながって大きな白模様が形成されようとしています。





3図(実戦)
途中、白△とちょっかいをかけたのには違和感を覚えました。
黒△まで進んだ結果も、白がやり損なったようにしか見えませんでしたが・・・。





4図(実戦)
右下の動き出しから中央に援軍を増やし、黒×を取りに行く大作戦!
見事仕留め切ってみせました。
許七段、見ていて気持ち良いぐらいのパワフルな打ち回しでしたね。
やはり只者ではありません。

本木克弥対AQ

2018年02月21日 23時59分59秒 | AI囲碁全般
皆様こんばんは。
幽玄の間でのAQと棋士の対局は、初日はAQの9勝3敗でした。
やはり相当な強さですね。
ちなみに、棋士と対局する前にDeepZenGoと対局していましたが・・・。
意外な内容でしたね。

なお、AQの過去の対局はDeepZenGoのものと同じように、保存棋譜→サーバーに保存された棋譜→ハンドルネーム入力、という手順でご覧頂けます。
注意点として、DeepZenGoのハンドルネームは「DeepZenGo」と半角表記ですが、AQは「AQ」と全角表記です。
半角・全角を間違えると棋譜が表示されませんので、ご注意ください。

さて、本日は昨日の棋士対AQ三番勝負第2局、本木克弥八段とAQの対局をご紹介しましょう。



1図(実戦)
本木克弥八段の黒番です。
黒△と詰められて右上一帯の勢力圏が広がりました。
黒×の間が狭いので、いきなり入っていくのは大変な気もしますが・・・。





2図(実戦)
出ました!
AlphaGo愛用、本因坊道策風サバキ!
AQはかなりAlphaGoに影響を受けているそうですが、確かにこういうところは良く似ていますね。





3図(実戦)
しばらく進んだ場面です。
黒×一団が浮き上がり、大きなお荷物になってしまっていますね。
AQが上手い打ち回しで優勢を築きました。
その後も無理なく優勢をキープし、終わって見れば完勝でしたね。

本局はAQの強さを示した1局でした。
この大局観からは学ぶべきものがありますね。

芝野虎丸対AQ

2018年02月20日 20時38分43秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は品川区立城南小学校で、入門教室の講師を務めました。
後日感想を書きたいと思います。

さて、本日はAQ対棋士の三番勝負が行われました。
やはりAQは強かったですね。
大局観に限定すれば、既に人間レベルを超えていると思います。
ただ、弱点も表れたので今回は棋士側の勝ち越しとなりました。
3局とも幽玄の間で中継されたので、ぜひご覧ください。

また、今回は対局や解説がYouTubeの日本棋院チャンネルで配信されました。
生の対局姿、検討陣の様子などを見られて面白い試みだったと思います。
今回はイベントでしたが、公式戦などにも広がっていくのでしょうか?
どこまでやれるかは、皆様の注目度によっても変わってくるでしょう。
ぜひチャンネル登録(無料)をよろしくお願いいたします。

それでは、今回は先鋒を務めた芝野虎丸七段の対局で、目を引いた場面をご紹介しましょう。



1図(テーマ図)
芝野七段の黒番です。
左上で早くも難しい戦いが起こっています。
黒×と白×が争っているような状況ですが・・・。





2図(実戦)
白はあっさり白×を捨て、大場に先行しました。
そして、ここまで進んでみると白石の全局的な配置のバランスが良く、打ちやすい碁になっていることに気付きます。
AQの大局観は素晴らしいですね。
個人での開発で、このレベルに達する時代ですか・・・。





3図(実戦)
もう1つ印象的な場面がありました。
白1とカカリ、わざわざ黒2と守らせてから白3の侵入!
不自然な打ち方に見えますが、悪いと言い切れるかどうか分かりません。
1つ言えるのは、人間にはまず思い浮かばない発想だということですね。

しかし、この戦いでAQの弱点が出てしまいました。
せっかく侵入した石が全滅するという悲劇・・・。
さすがに損害が大き過ぎ、勝負は芝野七段の勝ちとなりました。


AQは明日から幽玄の間に登場、棋士たちのスパーリングパートナーを務めます。
強い所も弱い所もあるソフトですが、総合力はどのぐらいなのでしょうか?
楽しみですね。

明日は棋士対AQ3番勝負

2018年02月19日 23時46分04秒 | AI囲碁全般
皆様こんばんは。
明日はAQと棋士の三番勝負が行われますね。
幽玄の間youtubeの日本棋院チャンネルで中継されますので、ぜひご覧ください。

直近の大会時点でのAQの実力は、相当なレベルながらも今回の棋士達ほどではなかったと思いますが・・・。
しかし相手は疲れを知らぬAI、どれだけ強くなっているか分かりません。
DeepZenGoなどと比べると弱点が多いはずですが、それが出ない場合は棋士が負けても全くおかしくなさそうですね。

ところで、本日幽玄の間を覗いてみると、珍しくDeepZenGoが負けていました。
その対局をご紹介しましょう。



1図(テーマ図)
金澤秀男八段の黒番です。
黒△の当てに白△とつなぎました。
・・・えっ、うそでしょ?

この手はそのぐらいあり得ない手です。
例えばプロも人間ですから、ごく稀には当たりを見逃してしまうようなこともあります。
しかし、ここで白△とつなぐことは絶対にあり得ません。
白Aの抜きしか考えられないのです。





2図(実戦)
実戦はこのように進みましたが、これは手順を変えると・・・。





3図(実戦)
黒1に対して白2と抜けば、やはり黒3とつなぐ一手です。
実戦はここで白Aと一手パス同然の手を打ち、黒Bと頭を出されたのと同じことです。
普通に考えれば、この損が負けに直結したのでしょうね。


死活などで間違えることは有名ですが、こうした不思議なミスもあるのですね。
しかし、そんな弱点を抱えながらも現在の戦績は通算2907勝107敗、勝率96.45%・・・。
どんどん現実感の無い数字になっていきますね。
私は以前window標準のフリーセルにはまっていた時期がありましたが、確かそのぐらいの勝率だった気がします(笑)。
DeepZenGoの通算成績は過去のバージョンでのものも含んでいますから、今の強さはどれほどのものでしょうか・・・。

お寺で囲碁

2018年02月18日 23時56分30秒 | 仕事・指導碁・講座
皆様こんばんは。
本日は鎌倉の光明寺で行われた子供囲碁大会に講師として参加しました。

古くからお寺と囲碁には縁がありました。
初代本因坊・名人の算砂も僧侶でしたし、平安時代の僧侶・寛蓮の伝説も有名ですね。
お寺で囲碁を打つ文化が受け継がれているのは嬉しいことです。

さて、今回私は主に入門クラスを担当しました。
入門では、なるべく教え過ぎないように気を付けています。
小さい子供も多いですし、一度に色々なことを教えられると混乱してしまうからです。
何より大事なことは、対局者の間でゲームが成立することです。
必要十分なだけのルール説明と、後は少しの対局サポートをしていれば自力で打てるようになります。

対局サポートの内容としては、まずは取れている石の確認ですね。
取れている石が放置されていると、途中で進行困難に陥ることがよくあります。
それと終局処理ですね。
「打っても得をする所が無い=パス」という考え方は大人には簡単ですが、子供は結構苦手です。
大盤解説だけではまず無理なので、分かるまで丁寧に教える必要があります。

それだけできれば、最初の段階はクリアとして良いでしょう。
死に石の判定などが間違っていたとしても、お互いが合意の上で終局できていれば全く問題ありません。
対局に楽しさを感じてくれるようになれば大成功と言えます。

今回私やスタッフの方々が指導した子供たちが、囲碁ファンになってくれたら嬉しいですね。