白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

昨日の対局

2018年02月02日 23時12分36秒 | 対局
皆様こんばんは。
昨日は河野臨九段と対局しました。
結果は既にご報告した通りですが、感想を述べたいと思います。

河野九段は天元3連覇などの実績があるトップ棋士で、賞金ランキングも上位常連です。
10回打って1回勝てたら上出来ぐらいの力の差はあるでしょう。
しかし、格上過ぎてプレッシャーが無くなるので、のびのび打てる意味はあります。



1図(テーマ図)
私の黒番です。
ここまでは自分なりには上手く打てていました。
分からないところは多かったですが、後悔した手はありません。
形勢も若干打ちやすいのではないかと思っていました。

ここで打った黒1、3は、黒△を補強しながら白を攻める狙いです。
発想は良かったですが、しかし筋が悪かった・・・。





2図(実戦)
白1で左右の黒を分断、そして白3とハネ出してきました。
たったこれだけの手順で黒が困っています。
なんとも迂闊でした。
黒Aと押さえる手は成立しません。





3図(変化図)
黒1には白2の割り込みがぴったりの手筋で、白4となってAとBの切りが見合いです。
黒△が取られてはいけません。





4図(実戦)
止むを得ず黒1と並んで割り込みを防ぎましたが、白2と伸びきられて左右の黒が薄くなっています。
あっという間に旗色が悪くなってしまいました。





5図(反省)
黒1と高く打ち込むべきでした。
黒Aによる連絡や黒Bの割り込み狙いがあるので、白2には黒3と押さえて頑張れます。
これなら黒が攻勢でした。

この後は形勢不利を意識して勝負、勝負と仕掛けていきましたが、全て受けきられてしまいました。
用心深い河野九段に、しっかりと対策されていた印象です。
テーマ図の凡ミスが悔やまれる1局でした。

棋聖戦第3局結果

2018年02月01日 22時25分09秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
河野九段との対局は残念な結果でした。
後日感想を述べたいと思います。

さて、本日は棋聖戦第3局の2日目が行われました。
注目の封じ手は・・・。



1図(封じ手)
黒△でした!
ようやく当たりましたね。
自信の無い時に限って当たるのもどうかと思いますが・・・。
もっとも、この手を予想した棋士は多かったようですね。





2図(実戦)
手順を追っていて、この場面には驚きました。
白△とハネられましたが、ここで普通の棋士なら・・・。





3図(変化図)
要石の白△を取ることしか考えないのではないでしょうか?
黒△は取られるかもしれませんが、安全な進行です。





4図(実戦)
ところが、実戦は黒1!
白△はaの所の1眼しか無いと主張しました。
なんというしつこさでしょうか。

しかし、中央を白2と逃げられ、黒△と黒×が両方弱い石になっています。
怖すぎてとても考えたくない進行です。

1日目でも似たような場面が出てきましたが、一力挑戦者はあえて難解な道を突き進みましたね。
碁では基本的に最善手や勝ちやすい手を目指すものですが、人間の対局はそれだけではありません。
各人にこういう手、こういう碁を打ちたいという意思があり、それが勝負を面白くしていると思います。

しかし、結果的に一力挑戦者は後が無くなりました。
第4局ではどんな碁を目指すのでしょうか?
なんとか踏ん張って欲しいですね。


なお、女流名人戦矢代久美子六段挑戦者になりました。

最近の女流囲碁界は一般棋戦以上に低年齢化が進んでいて、タイトル戦出場者の大半は20代、時々10代という状況です。
そんな中で、矢代六段が出てきたのは逆に新鮮ですね。
10年ぶりぐらいのタイトル戦出場です。
藤沢里菜女流名人との戦いがどんなものになるのか、楽しみですね。